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In The Progressive Passage

 ハマー の渡米の影響で曲釣りとレコーディングを計画。1997年8月から曲作り、完成は1998年7月とまる1年かかっている。当初は全員楽しんで作業をしていたが、後半になるとやむを得ず行っている感じになり、特に期限のある 高坂 は作業を急ぐようになり、他の2人への指示出しが多くなり、少し雰囲気が悪くなっていた。それでも全員が「完成させたい」の思いで携わっていたと思う。
 クレジット上のメンバーは 杉原、高坂、ホイポー の3人になっており、Special Thanksの欄に「Masayuki Hammer」の名前が見える。
 主な機材は、メインギターが Giblson Les Paul Standard "Pastral"、サブが Fernandes 24 flet "Cream"、アコースティック部は Morris Tornado ZII-HG "Kuma Guitar"、少しだけ YAMAHA Acoustic APX-6A "Blondy"。キーボードは KAWAI Keyboad K1II で、一部 ホイポー のキーボードも使用。ドラムやベースも ホイポー のものの音源。アンプは大半が Guyatone Flip 200FJ 20W Ampで、一部に Marshall JCM800。レコーダーは Roland VS-880、編集に使用したのは Macintosh 9500/120 とソフト Macromedia Sound Edit 16 2J。

1. Progressive Passage(高坂作)
Key&入力 高坂
1998.4.

 「Changing」の前奏のような曲。不安定で謎めいた雰囲気を漂わせながら次の曲へ誘ってゆく。
 メインのフレーズはMIDIによる打ち込み。それに 高坂 が色々な効果音を混ぜて作った。すべて KAWAI のキーボードに入っていた音。

2. Changing(高坂作)
Vo 杉原 G 高坂 B入力 ホイポー Dr入力 ホイポー Key 高坂
1998.2.〜4.

 実質的オープニングの曲は 高坂 の自信作。レコーディング初期からのオープニング候補だった「Agitator」が思ったほど迫力が出なかったため、代わりに1曲目になるような曲をと、高坂 が作曲し、詞もつけた。詞はわざと抽象的にし解釈の幅をつけ、エンディングではスケールの大きいギターソロを目標に弾いてみた。中間のソロは半分アレンジし、後は雰囲気で崩して何通りか弾いたものの一つ。
 ヴォーカルメロディも 高坂 によるもので、杉原 は 高坂 の下手な歌が入ったデモテープを車で何度も聴いて練習した。高坂 は「デモの歌は全然歌えていないけど、やりたい事と雰囲気は感じとって」と 杉原 に無理な注文をつけて歌ってもらった。

3. Sleepless Town(高坂/ホイポー作)
Key 高坂
1998.6.

 「Changing」同様、前奏にあたる曲。こちらはほとんど「Fuya-Jo」のリフのキー違い。「Fuya-Jo」は本来 ホイポー の曲だが、このリフの部分は半分くらいオリジナルのままで、残りは 高坂 のアイディアで出来ているため、作曲は半々ということに。曲名「Sleepless Town」は単に「不夜城」の英訳。

4. Fuya-Jo(ホイポー/杉原作)
Vo 杉原 G 高坂 B入力 ホイポー Dr入力 ホイポー Key 高坂
1997.12.〜1998.2.

 ホイポー の曲に 杉原 が詞をつけた。ホイポー のデモテープをもとに、高坂 がリフをはじめとしたギターアレンジを大幅に施した。サビ以外は Ozzy の「Shot In The Dark」のアレンジで、ソロの後半のフレーズは同じく Ozzy の「Fire In The Sky」や「No More Tears」。高坂 は、自分の曲で大好きな Ozzy っぽい曲を作るとそのまんまになってしまうので、極力避けていて、他人の曲でその欲求を満たしている。だからこの曲は大のお気に入りなのだ。
 ヴォーカルメロディは 杉原 が大半を考えたが一部 高坂 のアイディアも入っている。

5. Rockin' Lives(ホイポー/杉原作)
Vo 杉原 G 高坂 B入力 ホイポー Dr入力 ホイポー Cho 高坂,ホイポー
1997.12.〜1998.5.

 当初はLAメタル的なリフの曲だったが、高坂 がリフを変えてしまい、アレンジも大幅に変えてしまった。またヴォーカルはサビでもっと砕けた感じのかけ声を入れたりする予定だったが、楽器に埋もれて解りづらくなってしまうため、ボツになってしまった。代わりにシンプルな予定のコーラス隊がたくさんの声を入れたラフな感じになった。このコーラス隊は、最初に 杉原、ホイポー、高坂 が同時歌い、次に ホイポー と 高坂 だけが歌い、更に後日 高坂 の2声が入っているので、計7声がメインヴォーカルの他に入っている計算になる。
 イントロのギターは、もっとビッグなサウンドにしたかったが、それを狙いショートディレイ的なダブリング効果を得ようと、最後に Sound Edit で前後に波形をズラしたものをコピー&ペーストしたものだが、ズラす幅が大きすぎたようで、原音がハッキリと残ってしまい全くビッグサウンドにならず、 高坂 は完成後に落胆した。

6. Only Running Away(高坂作)
Vo 杉原 G 高坂 B入力 ホイポー Dr入力 ホイポー Key 高坂 Cho 高坂
1998.4.〜6.

 曲が足りないということで無理に作り、やっつけ仕事感にある中でレコーディングされた曲。ギターソロの部分は、当時 高坂 がハマっていた Tribe Of Gypsies の影響でラテンっぽくなっている。
 いまいちの曲で気乗りしない中、杉原 は力の限りを尽くしてくれた。一番最後の部分は 杉原 のアドリブにより歌詞も変わった。

7. Man On The Power(高坂作)
Vo 杉原 G 高坂 B入力 ホイポー Dr入力 高坂 Key 高坂
1998.5.〜6.

 「Only Running Away」と同時期に、穴埋め的な存在感で作られた。他とはサウンドが違うのは、偶然と必然が半々の理由から。ドラムサウンドは 高坂 の BOSS DR-5 を使用し、MIDIデータを作ったのだが、ホイポー が「これの方が音が良い」の一言でそのまま採用となってしまった。したがってアルバム中唯一ドラムサウンドが違う。ギターはラインで Roland VS-880 に入っていたサウンドにし、スラッシュメタル的な音を目指した。が、よく聴くとクリーンサウンドが混じっていて少し変な感じ。中国風なソロは4度下のハーモニーのせい。

8. Em-June(高坂作)
G 高坂
1998.6.

 ブレイクタイム的な小曲。ギター1本で演奏されている。ベースもドラムも歌もない。
 タイトル中の「Em」は「Eマイナー・コード」の意味ではなく、曲のモデルとなった2人の名前の頭文字。大きな「E」と小さな「m」。2人に起こったある6月の悲しい出来事が曲のイメージ。

9. Agitator(杉原/高坂/ホイポー作)
Vo 杉原 G 高坂 B入力 ホイポー Dr入力 ホイポー Key 高坂
1997.11.〜1998.2.

 前の静かな雰囲気から突然の爆発音で始まる。兵隊が行進する音や爆撃機の音など、モロに戦争の歌になっている。ずっとオープニング候補だったが、ギターが迫力不足のため出来がいまいちになってしまった。
 ギターソロはなかなか良いものが思いつかず悩んでいたが、スタジオでリハーサル中に弾いた、少しコード進行を意識したフレーズを ホイポー が絶賛し、決定した。
 歌詞を含めた多くを 杉原 が作り、ホイポー が少し手を貸した。イントロのアコーステッィク・パートとサビは 高坂。一番最後のヴォーカル・パートは Metallica みたいで 高坂 はずっと気に入らなかったが、後年、ここだけ歌詞の視点が違うことに気づき、素晴らしいと思うようになった。ずっとAgitator側の歌なのに、そこだけ反Agitatorになっている。それを理解すると途端に素晴らしい歌詞になる。結構簡単な解釈なのに、高坂 は長年気づかなかった。

10. Living On The Universe(高坂作)
Vo 杉原 G 高坂 B入力 ホイポー Dr入力 ホイポー Key 高坂
1998.3.〜5.

 出だしの効果音は宇宙の雰囲気を出すため、DIO のCDから拝借。イントロの後に出て来るヴォーカルがやたらコモっているのは、レコーディングの際のクリック音を拾ってしまい、それを消すため。録り直している時間がなかったため。中間部も同様。
 圧巻はハイトーンのヴォーカル。特に終盤は凄いの一言。あれだけの高音を力強い声で出せるとは恐るべし。このヴォーカルにつられ、ノリノリで弾いたのはエンディングのギターソロ。ライトハンド奏法とスライドの組み合わせたものだがトリッキーな効果も出ている。その他もアドリブながらなかなかのソロになった。
 ヴォーカルとエンディングのソロが素晴らしい出来になった反面、それ以外はかなり散漫で完成度も低いのが残念。

11. The Mirage(高坂/藤原作)
Vo 杉原 G 高坂 B入力 ホイポー Dr入力 ホイポー Key 高坂 Cho 高坂
1998.1.〜5.

 高坂 の曲に、当時の 高坂 のパートナー・藤原 が詞をつけた。辞書を片手に、R14号沿いの幕張本郷のマクドナルドに長居して作られた。高坂 が出すアイディアは次々とボツになったが、ひと味違うさすがの完成度になった。この時、同時に 高坂 は「Changing」の詞を一部作った。
 ヴォーカルラインは1箇所 ホイポー のアイディアも取り入れられたが、それ以外は 高坂 のオリジナルのまま。杉原 はかなり忠実にデモテープ通りに歌っている。ギターソロのロングトーンは Whitesnake の「Is This Love」のイメージ。エンディングでリバーブを深くして霧が深くなっていくようなイメージにしたかったが、間違えてショートディレイをかけてしまい、それに気づかず完成してしまい残念だった。

12. No End To The Darkness(ホイポー/杉原作)
Vo 杉原 G 高坂 B入力 ホイポー Dr入力 ホイポー Key 高坂
1998.6.〜7.

 レコーディング最終盤に作られた曲。最初からアルバムのエンディング用として企画されていた。ホイポー 発案のドラムソロから始まり、ギターアレンジも大半は ホイポー。他の曲では 高坂 が大幅にアレンジを直しているが、この曲はほぼ ホイポー のアレンジ。高坂 のアイディアは、中間の静かなアルペジオに少し捻りを入れたこととソロだけ。ソロの前半は ホイポー のブラッキー(ストラトキャスター)で弾いている。このアルバム中、ストラトはこの曲のこの部分のみだが、シングルコイルらしい音がしている。後半の派手なソロの部分は愛器のレスポール。杉原 はもっと派手なソロがいいとリクエストしていたが、思いつかなかった。
 歌詞は、ほとんどが 杉原 だが、完成せずに時間ばかりかかって焦っていたので、高坂 も結構手伝った。

13. Ancient Sun(高坂作)
G 高坂 B入力 ホイポー Dr入力 高坂 Key 高坂
1997.12.〜1998.3.

 レコーディング中盤の頃には 高坂 が持ち込んでいたが、ヴォーカルがつけられずにインスト曲としてアルバムの最後に入れることになった。いまいちつまらない曲だったが、ギターでメロディーを入れたら少しマトモになり、ソロを入れたら 高坂 のお気に入りの曲に変貌した。高坂 のパートナー・藤原 がAメロを褒めてくれたのが自信になった。
 ギターソロは、このアルバムで唯一スタジオで爆音での演奏(イントロ等も)。Studeio Gique に一人こもり録音した。エンディングのソロはフェルナンデスの白いギター。24フレットをフルに使い、高い音を多用したかったので、コンディションがやや不良だったが使用した。
 後にピアノバージョンやアコースティックバージョンも作られている。

14. Kibou no Hoshi(高坂作)
G 高坂 B入力 ホイポー Dr入力 高坂 Key 高坂
1998.2.〜7.

 「Changing」と1曲目を争い敗れた曲。ギターも一部仮のもののまま、ヴォーカル部もラフなキーボードのガイドラインのままで、デモではないがレコーディングが中途で止まってしまった状態のまま、オマケ的に追加収録されたもの。本編は前の曲で終わっているので、曲の前に長い無音部分がある。曲のイメージはモロに Helloween。ドラムパターンやコード進行がいくつかの Helloween の曲の一部をそのまま持って来ている、杉原 が歌えばらしくなるだろうと思っていたが、結局ヴォーカルは完成せずに、従って歌詞も出来ていない。だが 杉原 のアイディアで、なぜかタイトルだけは出来ていて、日本語ではなくローマ字表記にしようということまで決まっていた。ギターソロは Helloween 風ツインギターになっているが、ボツにせずにアルバムにオマケとして入れることになってから2本目が録音された。


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