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demo tape '91

 主に1991年8月にレコーディングされたもの。これに後で数曲が加えられている。ジャケットは前橋でのライブ写真だが、これに写っている前野は参加していない。

1. PARA's Theme(PARA作)
G 高坂 B 吉田 Dr 守田
1991.8.28. Studio Life(新井薬師前)

 1991年5月に作られた。当初は「イントロ」「アウトロ」と呼ばれていたが、同じものだし、次第に「PARAのテーマ」と呼ばれるようになった。「PARA's Theme」はその英語表記だが、実際には一度も英語で呼ばれたことはない。2つのコードが出て来るだけのシンプル極まりない曲だが、一番最後の前野の吠えがPARAらしいトレードマークだった。このデモには前野が参加していないので、当然吠えもない。

2. Murder Will Out(吉田,前野作)
G 高坂 B 吉田 Dr 守田
1991.8.28. Studio Life(新井薬師前)

 最初期からの曲。イントロのドラムからスライドで入るところが気持ち良く、好きだった。最初のリフも良いのだが、中間のだんだん上昇していく展開はどう理解して良いのかわからず、数ヶ月後にフリーでソロをかぶせてしまうという吉田のアイディアを採用するまでは自信が持てず消極的なプレイばかりしていた。後半に早くなる部分もギターはアイディアに乏しく、大半はベースとユニゾンか、あまり意味のない短い小手先だけのオカズに終始しており、ジリ貧状態のギターだ。

3. Doom Dance(吉田,前野作)
G 高坂 B 吉田 Dr 守田
1991.8.28. Studio Life(新井薬師前)

 最初期からの曲。ベースで始まる異様な雰囲気が吉田らしくPARAらしい。高坂はこのイントロのオドロオドロしい感じが好きだったが、同時にとても緊張する部分でもあった。休符を合わせるのはとても難しく、意識すればするほど少し遅れてしまう。バッチリ合った時にふと我に返ると無の境地に立っていたというのがよくあった。最初のリフ、2番目のリフと気持ちが良い。ソロはずっと決まらずいつもアドリブで弾いていて、しかもしれがいまいちの出来だった。曲は好きだったが、苦手な曲の代表。

4. Death or Fight(吉田,高坂,前野作)
G 高坂 B 吉田 Dr 守田
1991.8.28. Studio Life(新井薬師前)

 最初期からの曲の中でも一番最初の曲で思い出深い曲。最初のゆったりとした部分が高坂作。高坂デモに入っていた別の曲の一部を吉田が気に入ってこの曲に持って来た。前野も気に入ったようで、ライブではギターとヴォーカルがユニゾンになるパターンが多かった。イントロ部が終わると激烈な本編となる(時間的にはイントロの方が本編よりも長い)。最もPARAらしい畳み掛けるリフと早いフレーズの連続。Em-G-F#m-B7と続く16分の早いパートでのギターは細かなフレーズが沢山出て来るのだが、ほとんど聴こえずに気づく人はいない。

5. Your Pain Is Yourself(守田,前野作)
G 高坂 B 吉田 Dr 守田
1991.8.28. Studio Life(新井薬師前)

 珍しく守田の作。守田がギターで作成したデモから採用された曲で、リフが単調だったために高坂が色々試行錯誤していたが結局完成せずに、不本意な出来のまま録音されてしまった。何度か出て来るソロ部は、デモでは守田のライトハンドの早弾きが炸裂していたが、高坂が別のソロに変えてしまった。イントロのドラムソロがマーチングバンドの行進曲のようだといつも吉田にからかわれていたが、最後までそのノリは変わらなかった。

6. Chaos Is Japan(前野作)
G 高坂 B 吉田 Dr 守田
1991.8.28. Studio Life(新井薬師前)

 古い前野のバンドの曲。シンプルな構成で、勢いで一発カマすようなタイプの曲。バンド全員のお気に入り。イントロだけPARA流に少し変更してあるが、ほとんど原曲のまま。PARAに欠かせない重要なレパートリーになっていった。

7. Imagination(高坂,前野作)
G 高坂 B 吉田 Dr 守田
1991.8.28. Studio Life(新井薬師前)

 高坂デモから取り上げられた曲。デモではキーボードで作ってあったが、PARAでは当然キーボードレス。高坂の曲ながら、本人が気乗りせずにボツになりかけたが、「キーボードのメロディを吉田と高坂で分担して弾こう」等、吉田が積極的だったため採用の運びとなり、ライブ毎に少しずつアレンジが進化し、途中、ベースのみになる箇所は「本番でイキナリはやめてくれ。緊張しちゃう」と、吉田がグチっていたことがある。中盤では、デモにあった別の曲のギターソロを吉田が気に入り高坂にリクエストしたが、高坂が難色を示したため、代わりに吉田がベースで弾く箇所がある。終盤のアルペジオ部は後に大豆生田に「Hotel Californiaみたいだ」と指摘されたことがある。高坂としてはJake E. Leeを意識した音使いにしているつもり。

8. Doom(吉田,前野作)
G 高坂 B 吉田 Dr 守田
1991.8.28. Studio Life(新井薬師前)

 1991年3月から新曲として採用された、PARAの代表曲。ライブでは一番最後に持って来ること多かった。激しいリズムの曲ながら、休符や落とす箇所もあり、変化に富んだ内容になっていて、メンバー全員のお気に入り曲。最初のリフのリズムが裏のリズムにかわるところで高坂はいつも苦戦し、裏ノリにしたり、フレーズを代えたりして対応していた。

9. PARA's Theme(PARA作)
G 高坂 B 吉田 Dr 守田
1991.8.28. Studio Life(新井薬師前)

 1曲目と同じ。後の方が興奮度が違うせいか、たいてい「イントロ」より早くなる。

10. In My Mind Last Moments(吉田,高坂,大豆生田作)
Vo 大豆生田 G 高坂 B 吉田 Dr 守田
1991.10.8. Studio Life(新井薬師前)

 大豆生田と合流後の音源。「Death or Fight」の改曲版だが、短くなったり、休符を入れたり、繰り返し部を作ったりと新鮮だ。飽き飽きするほど演奏した原曲と比較するのはフェアじゃないかもしれないが、個人的にはこっちのバージョンの方が気に入っている。大豆生田とやっていける!と思わせた佳曲。歌詞のレベルも上がった。

11. Give Me A Toilet Roll(吉田,大豆生田作)
Vo 大豆生田 G 高坂 B 吉田 Dr 守田
1991.10.8. Studio Life(新井薬師前)

 大豆生田バージョン第2弾は「Doom」の改曲だ。終盤はまだアレンジ仕切れていないという申し出で「Doom」そのままだが、それ以外のヴォーカルの入れ方やメロディラインも良いと思う。前野とはまた違った男らしいバンドになったであろう雰囲気がある。「東京の空気は汚く、心まで汚染されているよう、誰か拭き取るトイレットペーパーをくれ」という内容。

12. PARA Medley '93(PARA作)
G 高坂 B 高坂
1993. パストラルハウス(習志野)

 高坂がジャズベースを手に入れたことから、PARAを思い出し、録音の運びとなった。各曲の印象的な部分だけつなぎ合わせ一つの曲のようにしたもの。聴こえる曲は順に「Imagination」「Death or Fight」「Murder Will Out」「Doom Dance」「Chaos In Japan」「PARA's Theme」の6曲。ドラムはBOSSの Dr.Rhythm DR-220Aで、吉田は同じものを使用してデモを作成していたので似た雰囲気は出せるはずと思い、複雑なリズムパターンを入力した。ベースは吉田と同じジャズベースを吉田のように弾きたかったが、力強いピッキング(指が細かに動かないので止むなくピックを使用した)が長続き出来ず、「Chaos Is Japan」の頃には疲れが見える。MTRを駆使し、ドラムなしの「Imagination」や他とスピードの違う「Death or Fight」は別々に録られた。「Doom Dance」のソロは初めてアレンジされたもので、厚みを出すためツインギター仕様になっている。

13. Imagination (How Far Jerusalem)(高坂作)
Vo 高坂 G 高坂
2016.12.25. めいわ(四街道)

 作曲から四半世紀以上経った2016年に、高坂が突如思い立って録音された。MacソフトのGrage Bandで録音され、ドラム、ベース、キーボードの音は内蔵の音源。ドラムは守田のプレイも参考に、早いバスドラも駆使したものに、ベースは特に音色を吉田に近づけるために苦労した。後半の半音階の使い方も吉田を意識している。何回かベースのスライドの音が聴こえるのは、実際に当時の吉田が出した音のサンプリング音。ギターはだいたいコードをなぞっているだけ。
 ヴォーカルは高坂の多重録音。もとより前野のようなヴォーカルは出来ないし、そもそもこの曲は久しぶりに取り上げようと思ったのは、このヴォーカルアレンジを思いついたから。この曲が生まれる前にインスピレーションを受けたMagnumの「How Far Jerusalem」の歌詞をそのままに、「Imagination」のギターメロディをヴォーカルメロディにして歌ってみたものがこれ。PARAに渡したデモテープではギターではなくキーボードでメロディを弾いていた(もちろんヴォーカルメロディを想定していた)。

14. Imagination (How Far Jerusalem) [Early Version](高坂作)
Vo 高坂 G 高坂
2016.12.11. めいわ(四街道)

 13のものとほぼ同一だが、ところどころ違っている。手直しする前の2週間のバージョンだ。違いをいくつかメモしておこう。まずヴォーカルはハーモニーの音程が少し違うが、ほとんど分からない。一番分かるのは「Jerusalem」の発音。こちらでは「エルサレム」と日本語風に聴こえるが、本バージョンは英語読み。サビのところのリズムがギター、ベース、ドラムともにこちらのバージョンはただの8ビートになっている。また、歌が終わってギターのアルペジオになるまでの間が、ベースとドラムの手数が「Early Version」の方がずっと少なく大人しい。


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