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Seasons Of 1999

 1999年に一人で多重録音により作られた。この年は人生のターニングポイントになる年で、悲しみのどん底から少し前向きになりつつある5月下旬から7月にかけての録音。過去との決別と心のリハビリのような意味合いを持つ(後から考えれば)。
 ギター3本とヴォーカル(最大3声)と限定し、3人によるアンサンブルのようなイメージによる。3本のギターも、「ハードロック少年/hard rock kids(Moon/左)」「ブルージーでゆったりとした/lose from Renaissance(Minstrel/中央)」「自分らしく/like a bear(Eigo/右)」という性格を持たせて弾いたのだが、それほど上手くはいかなかった。
 当時住んでいた八千代台南のKYハイツ102で、Machine Head 時代に購入した Rolland VS-880 を使用。マイクと近い位置ある時はハードディクのカリカリという音が聴こえてしまっている。主な使用ギターは、Moon が Pastral Guitar(レスポールの生音)、Minstrel が Heaven Guitar(フォークギター YAMAHA APX-6A)、Eigo が Kuma Guitar(エレアコ Morris Tornado ZII-HG)。

1. Jam Mem(高坂作)
 ギター3本の性格を表わそうという企画の下でのジャムセッション。タイトルの「Mem」も「前に出たい Minstrel」「バランスをとろうとする Eigo」「目立たなくてもしっとりと弾く Moon」という意味。

2. Ancient Sun(高坂作)
 「Jam Mem」から唐突に曲に入る。Machine Head の『In The Progressive Passage』に収録されていたオリジナル曲で、当時のお気に入り。ハードロック・アレンジの曲をアコースティックで演奏するため、難易度が高くなってしまった。中間部のアレンジは以前の 藤原 の指摘がヒントになっていて、Machine Head のものと少し違う。間奏のソロはオリジナルと全く別アレンジだが、エンディングはかなり近い(オクターヴ低いが)。

3. Little Wing(オリジナル:Jimi Hendrix)
 大好きな曲だが、ギターで弾くことに挑戦したのはこの時が最初。このアルバムのために練習し、録音も最終盤に行われた。ヴォーカルに絡みつくようなギター・アレンジが最高で、ほとんどコピーした。ヴォーカルは音程がやや不安定で危うい感じだが、当時の弱気な雰囲気を表わしているようで、気に入っている。

4. Mr.Crowley(オリジナル:Ozzy Osbourne)
 アコースティックには絶対向かないような曲だが、前奏からギターで再現している。さすがにソロは厳しいものがあるが、頑張って弾いているという感じ。ヴォーカルには気が回らずかなり手抜き。他の何曲かでもあるが、ソロを弾いているギターはレスポールの生音をマイクで録ったもの。どうしてもアコースティックでは弾けなかった。

5. The Rainy Day(高坂作)
 オリジナル曲で、結構気に入っている曲。意味不明の歌詞は、1991年夏頃の思い出を、恥ずかしいので抽象的に歌ったもの。この機会に完成させて録音した。夏のちょっとした暖かい雨は、寄り添った2人の距離を狭くしてくれる。2人だけの世界はどこまでも奥行きを持っていく。そんなイメージ。
 他の曲と違い、ギター2本(Eigo と Minstrel)による。

6. Across The Universe(オリジナル:Beatles)
 録音初期の頃に、完成度が低そうな曲ばかりのため、少しはマシな曲をやろうと張り切って録音したもの。思ったほど上手くいかなかった。

7. Lovin' Woman(オリジナル:Pride & Glory)
 大好きな Zakk Wylde 率いる Pride & Glory の曲。ギターにばかり気持ちがいってしまい、ヴォーカルがまったくおろそかになってしまい、収録曲中最も低いレベルの惨敗に終わってしまった曲。

8. And I Love Her(オリジナル:Beatles)
 前半では一番出来の良い曲。やはり一番付き合いの長い Beatles の曲は安定しやすい。中間で少し崩して歌うアレンジは1991年の Paul McCartney のアコースティック・ライブの引用。

9. The Mirage(高坂/藤原作)
 Machine Head 時代の曲。とても思い入れのある曲のせいか、アコースティック・アレンジでもまったく違和感がない。エンディングだけ雑になってしまったが、他はまあまあの出来だ。歌詞で「set me true」という間違った用法が出て来るが、そのまま使っている。

10. Sweet Child O'Mine(オリジナル:Guns'N Roses)
 アコーステッィクのは向かないタイプの曲と思いきや、意外にしっくりいく感じ。ほぼ原曲通りのアレンジのせいで難易度が高くなっている。ヴォーカルは3度上のハーモニーを足したら変な浮遊感が出た。

11. Over Two Thousand Winters(高坂作)
 Dark Side Moon 時代のオリジナル曲。当時と同じようなアレンジ。

12. Dreaming(オリジナル:Yngwie Malmsteen)
 最大の難曲。早弾き王・Yngwie の曲で、イントロは一部省略しているが、その他はだいたいそのまま弾いている。アコースティックで弾くのは難しすぎる部分もあるので、エレキソロの部分はレスポールの生音。またエンディングで転調する部分は、一気の録音ではなく、チューニングを変えて同じポジションで弾き直したもの。

13. Girls Who Can Read Your Mind(オリジナル:Paul Gilbert)
 Beatles 的な曲で「絶対に上手くいく」と思って挑戦したのだが、そうでもなかった。原因はサビの「who can read your mind」の部分が上手く歌えず外し気味になっているせい。もう少し練習すればマシになったであろう残念な曲。歌詞中の「I think her everyday」の部分でいつもドキッとしてしまう。

14. Hunting Humans(オリジナル:Rainbow)
 新生 Rainbow の曲で、この曲はライブで聴いて気に入ったもの。最大の聴き所はサビでの広がり。この曲のみ3声以上入っている。このサビの広がりを出したくて演奏したようなもの。逆に言えばそれ以外は退屈極まりない。

15. Africa(オリジナル:TOTO)
 サビでのハーモニーが好きで挑戦した曲。ギター3本の連携もほど良く、比較的上手くいった。ただしサビのヴォーカルメロディは Minstrel には高すぎ。ハイトーンでフェイクしまくるところは出来なかった。

16. No More Lonely Night(オリジナル:Paul McCartney)
 この曲が一番出来が良い。演奏がシンプルでいながら音使いがちょっと面白く、ヴォーカルハーモニーが上手くいったのが原因。残念なのはエンディングで、オリジナルはワンコードで延々とソロを弾くのだが、あまりに難しいために展開させたのだが、アドリブ・ソロがはまらないまま終わってしまう。

17. Changing(高坂作)
 Machine Head のオープニングを飾る曲で、Machine Head の中でもトップクラスの自信作。Machine Head ではアレンジも上手くいったので、こちらでは一転超シンプルなアレンジにしてみた。悲しげな雰囲気が1999年を表わしているようだ。

18. I've Just Seen A Face(オリジナル:Beatles)
 最後に元気良く終わりたいということで、最終盤での録音になった曲。イントロは良かったものの、早いリズムがとれずに、Beatles の曲でありながら散々の出来になってしまった。

19. From The New World(オリジナル:ドヴォルザーク)
 前の曲の出来が悪かったせいで、更なるオマケ的なエンディングをと思い、最後に録音した曲。この曲のみギター1本で、録音当日に初めて練習し、2〜3回弾いてすぐに録音した。そのため、たどたどしい演奏になってしまったが、これも不安定な1999年っぽいと変に気に入っている。


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