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The Grage Band

 2015年9月から2016年3月かけて作られた、久々の録音曲。我が家の古い iMac でもPCソフト「GrageBand」を使用できる事に気がつき、最初は古い音源のデジタル化作業をしていたものの、演奏を録音したくなり、途中から作業を切り替えて行った。ギターとヴォーカル以外はすべてPC内の音源を使用していて、演奏もMIDIによる。入力が面倒なので、何度もベースやキーボードを持ち込もうかとも考えたが、基本的には休日である土日の作業になるので、平日にその辺に機材を置いておくほど我が家は広くないし、いちいちしまったり出したりするのも嫌で、結局こうなった。ギターの入力には、エレアコのシールドを一旦MTR(何と一番旧型の1989年購入の!)に入れ、かるくイコライジングの後USB経由でPCへという流れ。
 デジタル技術を駆使し、特にリズムのズレを極力修正した。そのためダブルトラックにしてもリズム的なズレが少なく、かえって違和感があり、またヴォーカルのリズムのズレが目立ってしまっている。
 結果的に『Seasons Of 1999』とよく似たアルバムになった。ともに人生の谷の時期だったことが影響しているのだろうか。完成直後の曲順は違っており、「Please Mr.Postman」「Don't Fade Away」「In My Life」「She Knows」「In The Middle Of Heatbeat」「Slipping Away」「不屈の民」「Killer Of Giants」「Nobody Loves You」の順だった。
 最初からアウトテイクスも作るつもりでいたので、各曲複数のバージョンがある。「Naked」バージョンはもちろん歌のみという意味。また「Heaven In '74」も録音されたが出来が悪いためボツになっている。
 ジャケット制作は4月15日に、ソフトのアイコンや作業画面をあしらって簡単に作られた。

1. 不屈の民(オリジナル:Nueva cancion)
2015.10.12.〜2016.3.19.
 唯一の日本語曲。というよりオリジナルのポルトガル語が出来なかったためだが、一時は本気でポルトガル語で歌おうかとも思った。その昔『First Highschool』で取り上げた曲でもある。
 最も大胆にアレンジを加えた曲で、16ビートにするか、ラテンっぽくするかと考えていたが、最終的にはヘヴィメタル・アレンジに落ち着いた。ラテンっぽいアコースティックギター・ソロは歪ませた音とツインリードに変わり、ドラムも後半に行くにつれて激しいメタル・ドラムに変貌する。曲の構成も当初とは変わり、「El pueblo〜」の部分をソロの後に入れたりした。
 バージョン違いは主にヴォーカルだが、曲の成長過程でドラムパターンやベースも変更前の音が聴ける。ヴォーカルは様々なエフェクトに挑戦していて、歪ませるものやヘリウムガスによる女声化も初めてトライした。
 録音開始から1週間後にはだいたい録り終えているが、ヴォーカルの録り直しが終わったのが11月4日、その後も断続的に作業が続けられ、ドラムやベースの変更、曲構成の変更、コーラスの追加を経て多数のミックス違いを生みながら最終ミックスは3月19日。

2. Please Mr.Postman(オリジナル:The Marvelettes)
2015.12.5..〜2016.1.9.

 オリジナルは Marvelettes だが、主に Beatles バージョンを参考にしている。元気のない曲ばかりだったので、オープニング用にと録音されたため、最後の録音となった。そのためか、他の曲とは少し毛色の違う感じだ。
 ハーモニーがメインのような曲のせいか、録音は一番苦労した。少し低い音程になってしまいがち(完成バージョンでもところどころ低い箇所が残っている)で、何度も録り直しを行い小さな単位で切り貼りを行った。
 バージョン違いは「Naked」だけ。3月7日にミックスのみやり直し。

3. Killer Of Giants(オリジナル:Ozzy Osbourne)
2015.12.6〜2016.1.
 昔から好きな曲で、ギターで弾きたいものの難しすぎて弾けずに、いつも練習曲になっていたもの。ギターソロは今でも弾けない。ソロの難しさの原因は、ほとんどオクターヴ奏法な上に、オクターブ奏法のライトハンド・タッピングが沢山出て来るためだ。それを今回、ギター2台を、ノーマルな弾き方の部分とライトハンドの部分に分けて弾くことでクリアした。もちろんオリジナルは Jake E.Lee が1人でコナしている。ソロの後の部分は当初アコースティックのクリアの音でやっていたが、どうも迫力に欠けるので、「不屈の民」に続いて歪んだギターを登場させた。
 ミックスに時間がかかり、1月から何度も微妙な変更を重ね、2月14日に最終ミックス。

4. She Knows(オリジナル:Blue Murder)
2015.11.15〜2016.3.6.
 後半の遊園地のような雰囲気は出せたと思うが、ヴォーカルに苦労した。声質のせいか、こもったような音になってしまいがちで、最終的にキーを1音上げることにした。MIDI音源はともかく、生録音のギターやヴォーカルは音質の影響を受けるので避けたかったが、思ったより影響が少なかったので採用した。メインの録り直したが、他はキーを上げる前のまま。ギターは一部弾けない部分があったので、別々に録音したものを合成するなど、デジタル技術を駆使した。
 バージョン違いは、キーを上げる前のものと「Naked」「Karaoke」。「Naked」には最初からハーモニーが入っている。元のキーの録音は11月28日までに終わり一旦は完成としていたが、結局1月に入りキーの変更とヴォーカルの再録を開始し、2月の中断を挟み3月6日に録音は完成、3月12日に最終ミックスを行った。

5. In The Middle Of A Heartbeat(オリジナル:Helloween)
2015.10.17〜11.3.
 バージョン違いが最も多く存在する曲。それだけ苦労したということだが、楽しくもあった。「ver.1」と「ver.2」の違いはヴォーカルだが、「ver.3」は1音下げてすべて録り直したもの。「She Knows」と違って、生音はすべて録り直した。サビのハイトーンが上手く歌えないためで、当初は歪ませたオクターヴ低い声を重ねることで誤摩化そうとしていたのだが、各バージョンを聴けば分かる通り上手くいかず、1音下げて高い音を無理矢理出すことにした。Bメロのところで音の広がりを感じられたら最高だ。
 だんだん回を重ねるごとにミックスも上手くなり、3月に入ってからミックスのみやり直した。変にステレオ感にこだわると散漫な感じになってしまい、メインのヴォーカルなどは中央モノラルでデンと構えていた方が良いことに気がついた。

6. Slipping Away(オリジナル:Rolling Stones)
2015.11.26.〜12.28

 Hammer's Corporation のライブで演奏したことがある曲。あの時の楽しさが忘れられずに再演となったのだが、当時とはだいぶ雰囲気の違う出来になった。一番は動き回る Keith を意識したギターのせい。シンプルなのにアイディアが続かずなかなか難しかった。エンディングは Hammer's Corporation バージョンのように高いハーモニーを加えてゴージャスにしたかったのだが、オリジナルを聴いているうちに数パターンあることに気づき、色々やっているうちに本来やりたかったことが薄れてしまった。繰り返しをもう1回増やせば良かった。
 バージョン違いは、ヴォーカルの歪み成分の強いものと「Karaoke」。

7. In My Life(オリジナル:Beatles)
2015.8.〜10. 3.

 一番最初の録音曲。リズムが16ビートになっていて、プリセットのパターンの中からピッタリのものを見つけて使用した。バロック調の間奏はギター2本で弾いていて、結構練習した。5度のハーモニーが難しく、練習しても上手く歌えなかった。
 バージョン違いは「Naked」だけ。他の「Naked」と違いドラムが入っている。9月中におおよそは完成していたが、10月3日に一部ヴォーカルを録り直し、10月31日にミックスのみやり直し。

8. Don't Fade Away(オリジナル:Whitesnake)
2015.10. 10.〜11.

 最初の繰り返し間にジャーンとコードが一発入るのだが、これがいまいちわからず、インターネットで色々調べてみたがその多くは間違いで、結局分らず仕舞い。しょうがないので、自分の耳で聴こえるものを採用した。とても好きな曲なのだが、オリジナルのようには歌えず、つくづく歌の重要性を感じた。
 バージョン違いは存在しない。1月10日にミックスのみやり直し。

9. Nobody Loves You(オリジナル:John Lennon)
2015.11.8〜11.24.
 最も落ち込んでいた時期の録音のせいか、ヴォーカルが寒々しく痛々しい。休符が多く難しい曲だった。リード楽器のキーボードは原曲を意識しつつ独自のフレーズを弾いている。


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