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Looking Back To The Next Half Century

 前作『The Grage Band』は初の本格的DTMによる録音で、全般に細かなタイミングの修正を行った。時間が経ってから聴くと、これが面白みに欠ける最大の要因だということに気づき、本作では逆に、編集を最小限にとどめて生っぽさを出すようにした。それを強調するため、MIDIドラムはなしで、アコースティックギター2本とピアノだけという編成とし、完成後にパーカッションの音を入れた。生っぽさを出すため、パーカッションもMIDIの音をすべてリアルタイムで鍵盤を叩いて入力している。アコGも生っぽさを出すため、すべてマイク録音で、ノイズゲートやコンプレッサーを使用していないため全体に雑音が多くレベル差も大きいものになってしまっている。よく聞くと息使いや周囲の雑音も聞こえる。
 ピアノは新兵器、MIDIキーボードの ROLAND A-500PRO を2017年7月半ばに導入したので、機械的な感じは極力避けられた。ただし、演奏技術が未熟なため、右手と左手は別個に録音、従って実際には弾けない複雑なフレーズも弾けている。左右別個の録音のためのタイミングやノリが変な部分は、やむを得ず修正した。
 全体的なテーマは、音楽上の「自分史」といったところ。これまでの各時代から満遍なく選曲するよう心掛けた。タイトルは『Looking Back To The Next Half Century』。半生を振り返るという意味と次の半世紀は生きられないだろうからあえての部分がある。(当初案は『My Music History』『My Life』『Looking Back』『Looking Back 1969-2018』)
 各曲タイトルの後にいつ頃の記憶かを分かるようにした。
 機材的にはMIDIキーボード以外は前作とほぼ同じ。バージョンも同じ GrageBand に旧型MTRをミキサー替わりに使用しているのも同じ、ギターも「くまギター」使用、1曲だけKAWAIのキーボードを使用した部分だけ違うのみ。
 録音時期は2017年5月から2018年5月で、週末で出来る時間帯だけの作業のため、完了までの時間がいつになく長い。更に11月2日からパーカッションのオーバーダビングを行なった。
 自分の人生に大切は曲や思い出深い曲ばかりだが、「The Song Of Love & Admonition」「Over Two Thausand Winters」「Changing」「The Mirage」「Ancient Sun」は選から漏れた。理由は2度目の録音もしたことがあるためか、アレンジが思いつかなかったため。

1. School Age Medley [Scenes From 1976 to 86]
2018.3.4〜4.17
 小・中・高生時代の印象深い曲や思い出深い曲のメドレー。聴こえる順に「思い出のアルバム」「花見川第四小学校校歌」「花四小の運動会」「もみじ」「勇気の歌」「さあ太陽を呼んでこい」「ぼくのミシシッピー」「ガンダーラ」「四街道小学校校歌」「四小運動会(春日神社)」「まきばのこうし」「スキー」「四街道西中学校校歌」「守ってあげたい」「Never」「大地賛頌」「巣立ちの歌」「佐倉高校校歌」「壁の歌」「六甲おろし」。他の曲と違い、ピアノかギターだけの伴奏になっている場合が多い。1曲ずつ繋がるように、テンポとキーを一定にして、順番に録音していった。そのため、ややテンポが早すぎる曲、スローすぎる曲がある。「思い出のアルバム」「Never」「巣立ちの歌」「六甲おろし」は演奏のみで歌はない。

2. Slaughter On 10th Avenue [Scene From 1982](オリジナル:The Ventures)
2017.5.21〜7.17.
 本当は古いミュージカルの曲らしいが、雰囲気もアレンジも Ventures を意識しているので、オリジナルは Ventures とした。ギターを始めた頃、Ventures には大いに影響を受け、中でも一番のお気に入りがこの曲だった。中間部のパートを Ventures はミュート奏法で変化をつけているが、ここではギターの奏者チェンジ(奏者は高坂だが、右ギターと左ギターのこと)で変化をつけることに。これは BAHO のアレンジを参考にしている(バッキングも)。6月11日にキーボードパート以外のすべての録音が終わり、7月17日にMIDI キーボードの A-500PRO を使って初めての録音を行った曲でもある。ヴォーカルがないため、一番最初に録音が終わった。

3. Reality [Scene From 1983](オリジナル:Richard Sanderson)
2018.2.12〜3.4
 中学生の時に体育館で上映され観た『La Boum』の主題歌になった有名な曲。演奏のメインはピアノでギターはシンプルなコード弾き主体。リードギターはソロとほんの少しのオカズ。ピアノもコード弾きが主体だが、ところどころにフレーズが出て来る。ヴォーカルは3回歌ったうちの後半2回を採用し、一番最後のバージョンがメイン、2回目のバージョンが女声化しオクターヴ上の音で小さな音量でミックスされている。

4. I Will [Scene From 1984](オリジナル:Beatles)
2018.4.14〜4.21
 Beatles の美しいラブソング。小曲だが、コード進行、アレンジ、ギターフレーズ、そして歌と文句のつけようがない名曲だと思う。中3の冬の受験期によく聴いていたので冬のイメージがある。ピアノでベースを、ギター2本でリズムとリードをほぼオリジナル通りに弾いた。

5. Sing To The Music [Scene From 1985](オリジナル:島田奈美)
2018.4.21〜4.30
 元のアイドル・ソングからシャッフルのリズムの曲にアレンジを変更した。ギターはリズム楽器に徹し、少々オカズを入れるのみだが、出来るだけブルージーになるように心掛けた。ポップな曲調だが、何となくロックっぽくなったと思う。ピアノは印象的なリフの他は地味にコード弾き。ソロはオリジナルのラインをなぞったプレイだ。ヴォーカルがなかなか雰囲気が出せなかったので、ハーモニーによるツイン・ヴォーカルのスタイルを取り入れてみた。

6. (It's Just a) Smile [Scene From 1986](オリジナル:Rebecca)
2018.2.12〜
 ハーモニーによるサビのリフレインが大好きな曲。メインはピアノで、ギター2本はたんたんとコード弾きのカッティングをするのみ。ギターソロがない曲は珍しい。その分、ピアノが色々忙しくなっていて、メロディを入れたり、コード弾きをしたり、時にはベースのみで右手なしもある。コーラスが左右で深いリバーヴがかかり、メイン・ボーカルは普段より丁寧に歌っている。

7. あの娘はアトミック・ガール [Scene From 1987](オリジナル:ARB)
2017.5. 20〜9.19

 ARB からも1曲取り上げる予定だったが、石橋 でも 田中、斉藤、白浜 でもなく、岡部 の曲をやってみた。岡部 が脱退する際のライブで弾いていたフレーズが忘れられず、ギターとピアノで再現した。MIDIキーボード A-500PRO の導入初日に使用した。左手部やほんの一部はマウスでの入力で機械的で平坦な演奏だが、多くをMIDIキーボード入力にしたため、機械っぽさは最小限になったと思う。
 7月17日にオケが出来、9月9日にヴォーカル入れ。ヴォーカルはオクターヴィ違いを含め3回歌い全部採用、ハーモニーを1回の計4回のみで、ボツはナシだった。19日にエンディングのピアノを少し修正し完成。翌2月にボーカルのバランス、タイミング、ミックスを若干修正した。

8. Gurdians [Scene From 1988](オリジナル:Helloween)
2018.1. 20〜6.3

 今回、最も早くてテクニカルな曲。アコースティックには向かないスピード・メタルの曲だが、ほとんどそのままのアレンジでやってみた。今作中、最も前作に近いアプローチ(つまりツギハギ)で録られたもので、イントロのツイン・ギターのパートとソロの一部(前半のソロの7,8小節目あたり)は通しで弾けないため、何回かに分けて録音しつなげたもの。録音方法もこの曲だけ変わっていて、イントロのツイン・ギター→ピアノの左手→バッキング・ギター→ボーカル→ギター・ソロ→ピアノの右手となっていて、ピアノの左手の大半はクォンタイズ機能でリズムを完璧に揃えられている。2月4日に録音は終了したが、6月3日にミックスだけやり直している。

9. Mama Kin [Scene From 1990](オリジナル:Aerosmith)
2017.5. 14〜10.21

 今作で最初に録音された曲。RATIUG 時代を象徴する曲として選ばれた。この曲のピアノの左手部分のみ打ち込みによる機械的な伴奏になっているが、逆に右手部は KAWAI のキーボードでの一発録り。KAWAI のキーボード使用はこの曲が唯一。その分も含め、ギターはラフな演奏。その後の成長も分かるよう RATIUG 時代とは違ったフレーズを多く入れた。また、当時は 吉田 がギターソロを担当していたので、高坂 が弾くのは初めて。5月以降の長い中断後、10月21日のヴォーカルとギターソロを録り直し(一部、後半のロングトーンの部分に5月のものも残っている)した。ヴォーカルは早口のために大変苦労したが、朝から晩まで取り組み、あまり良い出来ではないが良しとしてしまった。

10. Doom Dance [Scene From 1991](オリジナル:PARA:作曲/T.Yoshida/M.Maeno)
2017.6.11〜 2018.5.12
 PARA からは、以前、自曲でもある「Imagination」を取り上げたことがあるが、今回はもっとPARAらしい曲と考え、この曲を選んだ。録音を始めたものの、最初の印象的なリフを間違えてしまい、2週間後に再録するはめに。数えきれないほど弾いたフレーズを間違えるとは我ながら信じられない。ソロは早弾きが多く苦労した。ヴォーカル入れは1月3日に3回歌って、それが順に右、真ん中、左に配置されている。ここまでで一度完成とされたが、5月12日にソロの一部を取り直ししている。

11. Follow Me [Scene From 1992](オリジナル:Northern World:作曲/E.Kosaka)
2017.10.8〜10.28.
 自作の曲の中でも屈指の出来と思っているお気に入り曲。原曲はシンセサイザーとエレキ・ギターとドラムだが、これをピアノとアコースティック・ギター2本に代えての演奏。聴き所は各ソロだが、ピアノ、アコースティック・ギターとも細部の演奏のミスがよく聴こえる楽器なので、何度も録り直した。あくまで生演奏っぽさにこだわったので、デジタル的な修正は最小限にしたが、ピアノ、ギターとも複雑なので苦労した。後半の掛け合いソロは、原曲はキーボードとギターを交互にしたものだったが、今回はギターが2本なのでピアノと合わせ三つ巴にした。そのため原曲にはない新たなソロも挿入され、新録らしさも出せたと思う。一番最後のギターソロのライトハンドだけはアコースティックでは音量が足りないので、左右同時に同じフレーズを弾いている。

12. Bore Song [Scene From 1994](オリジナル:Dark Side Moon:作曲/E.Kosaka)
2017.10.28〜2018.1.11
 Dark Side Moon 時代のお気に入り曲で、アドリブの要素満載の曲。1ギターの曲をドラムレス&ギター2本とピアノにアレンジしてみた。1曲弾ききるのは相当に難しく、いくつかのパートに分け録音した。テンポが半分になる中間部のピアノは会心の作。ああいうピアノをサラッと弾けるようになりたいが、実際は苦労の末のプレイ。

13. Lonesome Beat [Scene From 1996](オリジナル:Street Junk Express:作曲/E.Kosaka/Ash)
2018.5.12〜5.14.
 Street Junk Express の音源は(録音時には)残っておらず、高坂 の頭の中に残っていた記憶をベースに録音した。一部のコード進行が変わっていると思うが、8割以上はオリジナル通りのアレンジ。ギターソロも前半の早い部分は当時のフレーズのイメージ。歌詞もあったのだが、散逸してしまいメロディだけ、タイトルもウロ覚えでもう少し長いタイトルだった気がする。
 追記。録音終了後に Street Junk Express のデモ音源が2曲発見され、そのうちの1曲がこの曲だった。やはりコード進行は少し変わっているし、同じだと思っていたソロの出だしの部分も少し違っていた。

14. Fuya-Jo [Scene From 1997](オリジナル:Urayasu Machine Head:作曲/Y.Hotta/J.Makoto)
2018.1.3〜2.10.
 ギターはほぼ原曲通りのプレイ(右)とアコースティック・アレンジ(左)に分けられている。もともとアコースティックによく合いそうなアレンジであったが、ギターソロはエレキならではものだったので、アコースティックで再現するのは大変だった。全然別のフレーズにしようかとも考えたが、ここは意地を示した。ピアノのアレンジは独自のものを施して、ギターと合わせるのではなく、たんたんとシンプルなあるフレーズを繰り返すものにして、この曲の持つ退廃的な雰囲気を維持するものにしてみた。また、原曲は日本詞だが、それを英訳して英詞にしてみた。

15. iWorld [Scene From 2000](作曲/E.Kosaka)
2017.9.23〜10.4.
 1999年作のリメイク。ピアノメインのアレンジにして、MIDI キーボードが大活躍した。おかげで生っぽい雰囲気で録音できた。原曲とほぼ同じアレンジ、同じフレーズだが、一つ違うのはソロの後に1小節「E」の部分が挿入され、1呼吸置くアレンジになった部分。エンディングのピアノソロは、原曲はアドリブだったが、そのフレーズが気に入ったので、今回は忠実に再現した。原曲のエンディングはキーボード以外がフェードアウトし、キーボードもフェードアウトしていくが、今回はフェードアウトなしで終えている。

16. Half [Scene From 2019](作曲/E.Kosaka)
2018.5.5〜5.12

 今作唯一の新曲。久々の作曲は何と18年ぶり。これまで作ったことのなかった、ほぼリフだけで出来ている曲。メロディックなヴォーカルもなく、ほとんどギター2本だけを想定して作ったものを今回のテーマに合わせて少し関連づけてみた、という感じ。出だしはシャッフルで、いつの間にかリズムが変わっている。ソロも多いがほとんどアドリブ。


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