はじめに

 素晴らしき水島ワールド
 言うまでもなく、水島新司作『ドカベン』を中心とした水島ワールドのファンとしての、ちょっとした楽しみ・遊びのサイトです。そもそも、小学生の頃に『ドカベン』に出会い、高校野球、野球そのものを知り、学んだ者です。空地で友達と三角ベース(知っていますか?)を楽しむ場合でも、岩鬼や殿馬、里中に成り切って真似てみたものです。

 当サイトのスタンス
 『ドカベン』『大甲子園』をベースに、それ以外の水島作品も(すべてではないですが)愛読し、当サイトでも同様に、『ドカベン』『大甲子園』を主軸にその周囲もかじっています。その昔、マンガを読みつつ、描かれていない部分まで想像を膨らませていたものですが、その延長上にあるのが当サイトのそもそもの出発点です。
 「描かれていない部分を想像する」という点の出発点は、2年夏、主人公たちが弁慶高校に敗れて以降の他のライバル達の動向です。いずれも強敵のライバル達がまったく触れられないままいつの間にか消えてしまいました。特にクリーンハイスクールのファンで、『ドカベン』3強は明訓、土佐丸にクリーンハイスクールだと考えていたので、明訓・土佐丸が敗退したとなればクリーンハイスクールの優勝ではないかと思っていただけに、とても不本意に思ったことを覚えています。
 『ドカベン』等、数々の水島作品はもちろんですが、もう一つ重要な書として、豊福きこう著の『ドカベン、打率7割5分の苦闘』『ドカベン1000号への道』の2冊があります。私が考えていたこと以上の精度で具体化して本にまとめており、大変感銘を受けました。1年夏の明訓3回戦の相手の指摘などは、私が思いつかなかったもので、興奮したものです。

 豊福きこう本との違い
 私以上に緻密なデータを積み上げた豊福氏にはとても適わないので、当サイトの存在の意味もないのではないか、とも思いましたが、ここで違いを明確にしておきます。
 豊福氏は「マンガ・データ主義」をモットーとしていて、作品中のものを絶対視しています。逆に言えば「分からないものは分からないまま」というスタンスです。純粋な原作へのリスペクトが感じられます。
 例えばデータ分析の際の数字なども、作品中に描写がまったくない場合、しかしその間に試合があり勝利しているのが確実な場合、最低限の数字を使用します。即ち、「1−0で勝利」とカウントします。最低1点をとらないと勝てませんので「1点以上とったのは確実」という理屈です。作品中の新聞に山田がホームランを打ったことが書かれているものの、その他の詳細が不明の場合、「1打数1安打1本塁打1打点」という風に換算します。その試合に先発したのか、また途中交代はなかったのか、分からないからです。
 マンガの作中では、ドラマチックな試合を多く描いているので、大差の試合は省略されることになるだろうし、春季大会や県大会の序盤等、重要度が低めの部分も省略されるだろうから、強敵との試合ばかりのデータになりがちで、結果、「明訓は大量得点も大量失点もなく、いつも僅差の試合」というような集計結果になると思われる。個人成績も、弱小チームに5回コールド10−0のような試合では、例えば5打数5安打5打点というようなこともあったかもしれないのに省略されてしまい、通算打率も本塁打数等も実際よりは下がってしまうと予想できる。
 豊福氏の「データ主義」に対し、当サイトでは「想像を膨らませて勝手にプラス・アルファし楽しむ」という気楽なスタンスをとりたいと思います。そしてこれは豊福氏の素晴らしいデータ収集・分析や著書があってその上に成り立っているものなので、決して豊福氏を批判・否定するものではありません。もし、文中に豊福氏を批判しているかのような表現があったとしても、それは算出されたデータの不自然さを指摘したもので、前提としてデータを示したことへのリスペクトがあるのは当たり前です。

 正史として考えるのは『ドカベン』『大甲子園』
 そもそもが『ドカベン』から出発しているので、『ドカベン』は当然として、その最後のクライマックスの3年夏を描いた『大甲子園』も正史として扱います。
 『ドカベン プロ野球編』は(私がすべて読んでいないのもありますが)『大甲子園』との連続性に疑問点が残る部分もあるため参考資料程度に扱います。
 また『大甲子園』に登場する『球道くん』『一球さん』『ダントツ』『男どアホウ甲子園』『野球狂の詩』も参考資料。
 例えば『球道くん』では、青田高校はセンバツで無失点優勝を遂げているので、夏は春夏連覇を目指す大会なるはずだが、『ドカベン』ではセンバツ優勝は明訓。センバツ覇者がダブるのはおかしいので、正史である明訓を採用。『一球さん』では巨人学園は西東京の扱いですが、『ダントツ』の舞台も西東京。『大甲子園』では巨人学園が東東京に移っており、『ドカベン』以外の各作品と『大甲子園』とは緩やかなつながりしかないと考えられます。設定がバッティングしない限り、同時期の別の舞台での物語として生かしたい気持ちはありますが、青田のセンバツ優勝など、決定的な部分は目をつぶるしかないと考えています。

 実際、豊福氏が算出した山田の打率と『ドカベン プロ野球編』で判明した「甲子園打率7割5分」と大きな開きがあり、57打数57安打をプラスし補正してつじつまを合わせている(57打数57安打でなければ、61打数60安打、65打数63安打かもしれないが)。これは、作品中に描かれた甲子園で山田が凡退した打席が、描かれなかった打席も含めた全打席での凡退とイコールであることを物語っており、その他の全打席でヒット以上を打っていたことになる。甲子園は比較的判明している打席が多いので、57打数というのはなかなかの数字だ。1試合4打数あったとしても14試合以上の計算になって、判明していない試合や打撃結果にはおさまり切らないので、ということは判明していない試合の中には1試合でかなりの打数があった試合がなければならなくなる。つまり「明訓は甲子園での大会記録的な大量点も経験している」ということになる。KKコンビのPK学園に「29−7」というスコアの試合があったが、これ以上、つまり1試合で30点以上をとったがあったのかもしれないということになる。甲子園はコールドがないので可能だ。判明