単行本の表紙,背拍子

表紙
ドカベン1巻 岩鬼,山田 木下,大丸,佐々木,メガネ 山田
ドカベン2巻 岩鬼,山田,サチ子 - 山田
ドカベン3巻 サチ子 山田,岩鬼 岩鬼
ドカベン4巻 山田,サチ子 - 岩鬼
ドカベン5巻 山田 - 岩鬼
ドカベン6巻 山田,岩鬼 - サチ子
ドカベン7巻 山田,サチ子 - 岩鬼,山田
ドカベン8巻 山田 小林 山田,サチ子
ドカベン9巻 山田,小林 - サチ子
ドカベン10巻 山田,岩鬼,サチ子 - サチ子
ドカベン11巻 山田 不知火 サチ子
ドカベン12巻 山田,岩鬼,殿馬 土井垣 サチ子
ドカベン13巻 山田 - 里中
ドカベン14巻 山田 殿馬,岩鬼,サチ子 サチ子
ドカベン15巻 山田 犬飼小 山田
ドカベン16巻 山田,サチ子 岩鬼 サチ子
ドカベン17巻 山田 - サチ子
ドカベン18巻 岩鬼,山田,サチ子 - サチ子
ドカベン19巻 山田,岩鬼 - 山田
ドカベン20巻 山田 里中 サチ子
ドカベン21巻 山田,サチ子,殿馬,岩鬼 - 里中
ドカベン22巻 山田 微笑 殿馬
ドカベン23巻 山田 岩鬼,里中,殿馬 サチ子
ドカベン24巻 山田 賀間 岩鬼
ドカベン25巻 山田 - 土井垣
ドカベン26巻 山田,岩鬼,殿馬,里中 - 山田
ドカベン27巻 山田 岩鬼,木下 山田
ドカベン28巻 山田 里中,殿馬,サチ子 岩鬼
ドカベン29巻 山田 岩鬼,殿馬,里中 サチ子
ドカベン30巻 里中 山田 土井垣
ドカベン31巻 山田 犬神 里中
ドカベン32巻 山田,岩鬼 - 殿馬
ドカベン33巻 山田 土井垣,サチ子 岩鬼
ドカベン34巻 山田,里中 -
ドカベン35巻 山田,里中,殿馬 不知火 岩鬼
ドカベン36巻 山田,南海 - 里中
ドカベン37巻 山田,谷津 - 山田
ドカベン38巻 山田 殿馬
ドカベン39巻 山田 武蔵坊 岩鬼
ドカベン40巻 山田 武蔵坊 里中
ドカベン41巻 山田 太平,岩鬼,里中,殿馬 山田
ドカベン42巻 山田,雲竜 - サチ子
ドカベン43巻 山田 里中,殿馬,微笑,岩鬼 山田
ドカベン44巻 山田 - 里中
ドカベン45巻 山田 仁,河地 岩鬼
ドカベン46巻 山田,里中,岩鬼 - 殿馬
ドカベン47巻 山田,岩鬼,里中 - サチ子
ドカベン48巻 岩鬼,山田,サチ子,
里中,殿馬
今川,山岡,仲根,北,蛸田,
石毛,香車,上下,渚,土井垣,
高代,沢田,大平,徳川
山田
大甲子園1巻 山田 岩鬼,里中,殿馬 山田
大甲子園2巻 里中 不知火,山田 山田
大甲子園3巻 里中 - 山田
大甲子園4巻 中西 山田,岩鬼,里中 里中
大甲子園5巻 山田 岩鬼,里中,殿馬 山田
大甲子園6巻 岩鬼 山田 里中
大甲子園7巻 岩鬼 山田,里中 里中
大甲子園8巻 岩鬼 山田,里中 山田
大甲子園9巻 山田,岩鬼 - 山田
大甲子園10巻 岩鬼 里中 山田
大甲子園11巻 星王,殿馬 - 里中
大甲子園12巻 里中 - 殿馬
大甲子園13巻 岩鬼 真田 山田
大甲子園14巻 里中 - 山田
大甲子園15巻 山田 中西,真田 岩鬼
大甲子園16巻 中西 山田 山田
大甲子園17巻 山田 - 山田
大甲子園18巻 中西 山田,岩鬼,里中 中西
大甲子園19巻 中西 岩鬼,山田 中西
大甲子園20巻 岩鬼 - 岩鬼
大甲子園21巻 岩鬼 山田,里中,微笑,上下,
渚,高代,蛸田
山田
大甲子園22巻 岩鬼 - 岩鬼
大甲子園23巻 山田 中西 山田
大甲子園24巻 里中 - 山田
大甲子園25巻 山田,鹿馬,近藤 里中 岩鬼
大甲子園26巻 山田 - 山田
 単行本の表紙,背拍子
 『ドカベン』全48巻、『大甲子園』全26巻の表紙と背拍子に登場しているキャラクターの統計をとって、作者の思い入れの強いキャラクターを探ろうというもの。
 当然主人公の山田が多いのか、はたまた岩鬼か、人気の里中か。敵キャラクターで一番多いのは誰か? 計74冊もあれば膨大な量になるので、それなりに統計価値もあるというものだ。

 表紙の大小
 表紙のデザイン上、メインで扱われているものと、背景として扱われているものを同列に扱うのではなく、大小をつけてみた。
 しかし、メインなのか背景なのか明らかでないものも多く、判断に迷うものが多かった。一応、基準として、大きさとカラーかどうかを判断材料にした。
 しかしそれでも判断に迷うものが少なくなく、例えば、15巻は犬飼小の投球シーンの手前に山田が構えるデザインで、両者ともカラーで背景の雲なども合わせれば犬飼小の方が面積が広いが、背景扱いにした。つまり表紙のほとんどが背景であるという判断だ。
 8巻と9巻は共に山田と小林だが、8巻の小林は背景扱い、9巻はスライディングしている一瞬のプレーをとらえたものなので、山田と両者がメインと見るが、顔が見えない。顔が見えないメインはこれが唯一だ。
 11巻の不知火、24巻の賀間、31巻の犬神、35巻の不知火、38巻の隼、39,40巻の武蔵坊、『大甲子園』16巻の山田、19巻と岩鬼と山田、23巻の中西などは、大きく描かれているが、背景扱い。ポイントはあえて1色で描かれているからだ。
 これとソックリなデザインながら、36巻の南海、42巻の雲竜、『大甲子園』11巻の星王はカラーなのでメイン扱いにした。
 『大甲子園』13巻の真田はかなり扱いに困って、メインの岩鬼と同じコマの中でたんに遠近法で小さくなっているだけなので同格とも見れるが、大きさがあまりにも違うので背景扱い。
 その他、26巻と27巻の岩鬼の大きさはほぼ同じか27巻の方が大きいくらいだが、27巻の方が背景。
 16巻と18巻はともに山田,サチ子,岩鬼の3ショットだが、16巻の岩鬼は背景扱いとした。
 23巻は山田と岩鬼が大きめで、里中と殿馬が小さめだが、そもそも体の大きさがそういうサイズなので、全員メインにも思えるが、山田と比較すれば里中と殿馬は明らかに背景。よって岩鬼ともども里中,殿馬は背景扱いにした。
 このようになかなか難しいもので、判断は各自によって分かれるところだろうが、今回はこのようにした上で話しを進める。

 サチ子の存在
 最初から登場している山田と岩鬼が多いのは当然だが、それに並んでサチ子が多いのが目につく。女性の登場が極端に少ない物語の中で、作者も自分の娘のように大事しているキャラクターだと語っており、脇役ながら最重要キャラクターであることが証明されたと思う。いや、特に序盤においては準主役といえる存在だろう。
 しかし『ドカベン』の後半からにかけては登場回数が減り、『大甲子園』に至っては登場数ゼロとなってしまった。それだけ内容が濃くなった証しであろう。

 明訓四天王
 『ドカベン』では山田は全巻で登場している。さすが主人公。一方、『大甲子園』になると、山田が登場しない巻が何と9巻もある。
 変わって、岩鬼と里中が単独で描かれる場合が里中4回、岩鬼が2回ある。作者のこの2人への思い入れが大きくなっている証拠であるし、殿馬も山田なしの巻で星王とともに登場している巻がある。もはやこの4人全員が主役といって良いだろう。

 敵の登場
 敵の初登場は8巻の小林だ。不知火か雲竜かと思うが、意外にも小林だが、中学時代の話しでは重要な存在なので、当然ともいえる。小林と並んで重要人物の賀間は中学時代には登場せず、24巻に登場している。
 最多はやはり不知火。作者も最も強敵のライバルとして不知火と考えている証しだろう。
 敵ながら表紙でメインを飾ったのは次の8人。登場順に、小林、南海、谷津、雲竜、中西、星王、鹿馬、近藤。ほとんどは山田たちと一緒に描かれているものだが、中西だけは主役級の扱いを受けている。『ドカベン』でなく『大甲子園』にした意味が分かるというものだ。つまり、明訓ナインの話しが中心ではあるが、『球道くん』の主役である中西も負けていないぞ、ということであるし、そもそも山田と中西の対決を描きたかったから『大甲子園』をスタートさせたというのも表われていると思う。

合計点 ドカベン 大甲子園
表紙 表紙
山田 238 46 2 12 8 9 15
岩鬼 120 13 8 10 9 5 4
里中 86 7 6 6 5 9 4
サチ子 63 9 3 15 0 0 0
殿馬 44 5 6 4 1 2 1
中西 21 0 0 0 5 1 2
土井垣 10 0 3 2 0 0 0
微笑 6 0 2 0 0 1 0
不知火 6 0 2 0 0 1 0
6 0 1 1 0 1 0
11 小林 5 1 1 0 0 0 0
12 木下 4 0 2 0 0 0 0
武蔵坊 4 0 2 0 0 0 0
太平監督 4 0 2 0 0 0 0
蛸田 4 0 1 0 0 1 0
上下 4 0 1 0 0 1 0
高代 4 0 1 0 0 1 0
真田 4 0 0 0 0 2 0
19 南海 3 1 0 0 0 0 0
谷津 3 1 0 0 0 0 0
雲竜 3 1 0 0 0 0 0
星王 3 0 0 0 1 0 0
23 大丸 2 0 1 0 0 0 0
佐々木 2 0 1 0 0 0 0
メガネ 2 0 1 0 0 0 0
犬飼小 2 0 1 0 0 0 0
賀間 2 0 1 0 0 0 0
犬神 2 0 1 0 0 0 0
2 0 1 0 0 0 0
2 0 1 0 0 0 0
河地 2 0 1 0 0 0 0
今川 2 0 1 0 0 0 0
山岡 2 0 1 0 0 0 0
仲根 2 0 1 0 0 0 0
2 0 1 0 0 0 0
石毛 2 0 1 0 0 0 0
香車 2 0 1 0 0 0 0
沢田 2 0 1 0 0 0 0
徳川 2 0 1 0 0 0 0
鹿馬 2 0 0 0 0 1 0
近藤 2 0 0 0 0 1 0
 集計方法
 さて、結果を点数制にして集計したものが右の表。表紙(大)が2点、表紙(小)と背表紙が1点として算出しようかと思ったが、表紙の大小で2倍もの点差が妥当かという疑問もあるので、紙(大)が3点、表紙(小)と背表紙が2点とした。本当は表紙(小)を、(中)と(小)に分けるなど工夫すればもっと良いのだろうが、あまり複雑になっても分りにくいかと思い、割り切って算出した。

 集計結果
 予想通り山田が1位で岩鬼が2位と出た。この順位が作者の思い入れ順と考えても大差はないだろう。サチ子が殿馬を上回って4位に入っていたり、土井垣が意外に高いのは、比較的長く登場していたせいだろうか。渚が背表紙に1度登場したことで8位に入っているのも面白い。
 敵ながら不知火が8位に入っているのも興味深い。中西は『大甲子園』だけの登場で6位はさすが。当然『球道くん』の表紙は入っていないのにも関わらず高順位だ。
 『ドカベン』と『大甲子園』で傾向が著しく違うのも面白い。中西や真田ら、『大甲子園』だけの登場組が『ドカベン』ではゼロなのは当たり前だが、その逆パターンで典型的なのはサチ子だ。『大甲子園』では主役級キャラが続々登場したため、一番割りを食ってしまったのがサチ子というわけだ。
 下位の方に目を移すと、1巻に登場した柔道組の大丸、佐々木(目無し)、メガネ(氏名不詳)が名を連ねているのが少し嬉しい。『ドカベン』のエンディング近くで過去のキャラが総登場した際にも出て来なかった連中だ。
 一方、長く登場して印象深い土佐丸の犬飼(小)や犬神がわずか1回しか登場していないこと、犬飼(武)にいたっては一度も登場していない。それなのに、一瞬の登場で、しかも明訓にコールド負けしてしまった大熊谷工の河地は甲子園にも出ていないのに同じ23位だ。
 明訓のチームメイトの面々も登場しているが、『大甲子園』に出たメンバーが1回多く登場している分だけ上位になった。また、特に『ドカベン』では屈指のキャラクターだと思う徳川監督がわずか1回だけの登場というのは頷けない。どうしても選手優先になってしまうからかと思うが、太平監督でさえ2度登場しているのだから・・・。

 敵キャラのみの順位
 明訓のメンバーやサチ子を除外した順位。木下は一応、敵に入れ、徳川が味方に入れた。
 上から順に、中西、不知火、小林、木下、武蔵坊、真田、南海、谷津、雲竜、星王、犬飼(小)、賀間、犬神、隼、仁、河地、鹿馬、近藤となった。中西と真田は別作で主役を張るほどのキャラクターなので上位は当然だ。
 『ドカベン』と『大甲子園』の両方に入っているのは不知火のみ。敵キャラでは作者の一番のお気に入りといえるだろう。その一方、何かと不知火とセットで存在感を示していたはずの雲竜が1回のみの登場というのは解せない。しかも印象深い巨漢時代ではなく細くなった馴染みのない雲竜である。

ドカベン 大甲子園
山田 166 山田 72
岩鬼 75 岩鬼 45
サチ子 63 里中 41
里中 45 中西 21
殿馬 35 殿馬 9
土井垣 10 真田 4
小林 5 星王 3
 『ドカベン』と『大甲子園』
 『ドカベン』と『大甲子園』に分けて上位だけ順位を出してみた。大きくは変わらないが、やはり『ドカベン』でのサチ子と『大甲子園』での中西が目につく。
 その一方で『大甲子園』に登場した他の主人公たち、特に『一球さん』と『ダントツ』の扱いの低さはどうだろう。『大甲子園』が『一球さん』や『ダントツ』のファンから不評なのは有名な話しだが、特に真田は中西に匹敵する扱いを受けるべき存在だと思う。『ドカベン』と『球道くん』に次ぐ第3の存在というのは仕方のないところだとしても、『大甲子園』オリジナル・キャラの星王と大差ない扱いはちょっと寂しい。『ダントツ』は『大甲子園』構想のために新た書かれたものなので、扱いが低いのは仕方がないし、『男ドアホウ甲子園』の主人公はすでに引退、チラッと出て来る『野球狂の詩』も直接対決はないので仕方がない。
 また、『ドカベン』では里中と殿馬にそれほど差はなかったのだが、『大甲子園』になると圧倒的な差がついてしまう。殿馬も人気キャラなのだが、やはり里中の方が「顔」としては絵になるということだろう。
 山田と岩鬼の点数の違いも興味深い。『ドカベン』ではダブルスコア以上の点差をつけているのに『大甲子園』は点差がだいぶ縮まっている。更には岩鬼と3位の里中は僅差になっていて、登場回数も同じだ。
作者にとって岩鬼が主役級のお気に入りキャラなのは有名なところだが、『大甲子園』においては里中も岩鬼に負けないキャラとして描かれたということだろう。個人的には『ドカベン』の方が里中人気が高く、『大甲子園』後半は山田と岩鬼の印象が強いのだが、こと表紙・背表紙においては逆の結果がハッキリと出ている。

 背表紙のみの結果
 背表紙のみで順位を見てみると、1位山田は動かないが、2位にサチ子が入る。背表紙は面積は小さいが、本屋の棚に並んだ際は背表紙だけが見えているので重要だ。ここにサチ子が上位に入るということは、重要なキャラという表われであることはもちろんだが、この小さな背表紙というところに、『ドカベン』のマスコット・キャラであることが出ているのではないかと思う。
 以下、岩鬼、里中、殿馬、中西と続く。渚が1回だけ登場しているのも面白い。