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April Skys

 2人娘の加入から第1期 RATIUG 終了までの音源を集めたもの。ジャケットは YAMAHA LM Studio 近くの路上でおどける北世。背後のビルの壁にバンドのロゴが描かれているが、これはもちろん合成。

1. Memories(オリジナル:Yngwie Malmsteen)
G 高坂 G 北世
1990.3.27. YAMAHA LM Studio(池袋)

 2人娘登場のインパクトを示すような曲。高坂 と北世によるギター・アンサンブルの小曲だが、途中、北世が間違ってしまい慌てる声が聞こえる。ここではエレキ・サウンドだが、アコースティック2台で弾くととても美しく、途中半音でぶつかる音が出て来るあたりは鳥肌が立つほど。
 2人娘加入が決まった後、高坂 のボロアパートで合わせ、良い雰囲気だったのでスタジオで披露した。またこの曲はこの年の12月に White Pom Pom のライブで再現されたりNorthern Worldでも取り上げられたお気に入り。

2. Patience(オリジナル:Guns'N Roses)
Vo 山口 LG 高坂 G2 北世
1990.3.27. YAMAHA LM Studio(池袋)

 2人娘登場第2弾は山口だ。曲はもちろん山口と北世が持ち込んだもの。というより、旧メンバーで参加しているのは 高坂 だけで、山口のお披露目的な曲となった。この曲も事前に軽く合わせたりして、高坂 は山口の歌が上手いことも知っており、発声など佐知ねえの何かの参考になるかと思い、「聞いてみて」とスタジオで演奏したもの。激しめのバンドサウンドばかりの RATIUG にあって、アコースティック調の曲を披露したせいが、佐知ねえが「いいぞ、いいぞ」と喜んでいるが、ちょっと佐知ねえに失礼だったかなと後日反省。
 前半は静かな感じで山口の良さはほとんど分からないが、後半の盛り上がりはさすがの一言。一夜漬け的に覚えた 高坂 が一応ソロもとったりしているが、かなりいい加減で、実質北世が引っ張っている状態。エンディングで北世が残念がっているのは 高坂 がフレーズを間違ってサラリと終われなかったから。

3. Mama Kin(オリジナル:Aerosmith)
Vo 佐知ねえ LG 吉田 G2 北世 B 山口 Dr 牧
1990.4.10. Sound Factory(駒込)

 2人娘加入後、最初のバンドアンサンブルはやはりこの曲。高坂 は「ギターも弾きたい」という北世にパートを譲ったため、参加していない。一聴してすぐに気がつくのはベース音。なぜここまで大きな音で録音出来たのかは不明だが(単にベースアンプの側にマイクがあっただけかも)、おかげでリード・ベースとも言うべき山口のプレイがハッキリと聴くことが出来る。その山口に引っ張られ、牧のドラムも安定し、北世の荒々しいギターや曲構成がしっかりしたことも含め、浅妻在籍時代の演奏と比べると雲泥の差でレベルアップしている。細かい部分では、吉田のギターもリフの一部に半音階を挟んだり、ソロの音使いやテクニック的な滑らかさも出ていたり、成長が見られる。
 なお、この録音はこれまでのホームグラウンド・YAMAHA LM Studio を初めて離れ、駒込の Sound Factory でのもの。山口・北世の推薦によるものだが、理由は値段だけだったかもしれない。

4. Highway Star(オリジナル:Deep Purple)
Key 北世 Key 高坂
1990.4.1. 田島荘(千早町2丁目)

 謎の多い音源。1997年のCD化に際し、発掘された古いカセットテープの中にあったものに手を加えたもので、マスターはカビが生えたりシワが出来たり、ダメになる寸前の状態。日付はカセットに書いてあった。当時、北世のキーボード・プレイの上手さに驚いた 高坂 が何か録音しておこうと思い残したもの。メインの音は北世によるもので、確かに北世の早弾きを聴くことが出来るのだが、テープスピードが録音時とは違うように感じられる。左手のルート音を打つ音も機械的な感じだし、音のアタック音等を聴いても同様の印象で、おそらく10〜15%程度は早く再生されているのではと思う。しかし、録音に立ち会った はずの高坂 にはその記憶がまったくない。意図的にテープスピードを操作する必要もなかった。録音は 高坂 のMTRで行ったが、推理としては、MTRのテープ速度を遅くして録音してしまい、それを通常スピードで聴くと早く聴こえるということではないかと思う。ところが、それでは解決出来ない謎があり、1997年に一部、高坂 が音を加えた際、違和感なくオーバーダビング出来たということ。テープスピードがおかしければキーが合わないはずなので不思議だ。CD化の際にも昔のMTRを使用したことを付け加えておく。
 プレイに関して一言触れておく。特筆すべきは、早いコードトーンのアルペジオのフレーズを両手同時に弾いていたこと。片手でも弾けない 高坂 には驚異的なことだ。

5. Damn Good(オリジナル:David Lee Roth)
G 高坂
1990.4. 田島荘(千早町2丁目)

 山口・北世がとても気に入っていた曲で、その影響で 高坂 も気に入るようになったもの。6弦のドロップDチューニングのため、通常はなかなか弾く機会がないが、ある時せっかくチューニングを変更したのだからと録音してみたようだ。ギター1本だけのとてもシンプルな録音で、基本的にはバッキングのみを弾いているが、一部ギターソロのメロディを混ぜている。まだ練習中途のレベルで、戸惑いながら弾いている感じ。

6. Give Me All Your Love(オリジナル:Whitesnake)
Vo 佐知ねえ LG 高坂 G2 吉田 B 山口 Key 北世
1990.4.20. Sound Factory(駒込)

 牧欠席のため、高坂 が打ち込みをしたドラムマシーン(BOSSの Dr.Rhythm DR-220A)に合わせての演奏。ベース、キーボード、コーラスハーモニーが2人娘によるものだが、2人娘の力量がよく表われている。コーラスは北世。キーボードはスタジオ備え付けのYAMAHA DX7。

7. Heaven Tonight(オリジナル:Yngwie Malmsteen)
Vo 佐知ねえ LG 吉田 G2 北世 B 山口 Key 高坂
1990.4.23. YAMAHA LM Studio(池袋)

 この演奏も前曲に続きドラムマシーンに合わせてている。こちらは打ち込みもなく、延々とシンプルな8ビートを何の変化もなく刻むだけのリズムに合わせている。しかし、それ以外の演奏は格段に上達が見られる。高坂 がキーボードを担当するのは同じだが、これにより北世がギター。一部、オリジナル通りに吉田とハーモニーになっている部分が再現出来るようになった。
 2人娘による計3声のハーモニーも以前よりは飛躍的にパワーアップ。以前 高坂 が歌っていたパートは山口が、一番高いパートを北世が担当していて、女声のみになったせいか綺麗に聴こえるようになった。
 山口のウネるベースは相変わらずだが、ギターソロ後のブレイク部でカッコいいベースが聴ける。

8. Hold On(オリジナル:Yngwie Malmsteen)
Vo 佐知ねえ LG 高坂 G2 吉田 B 山口 Dr 牧 Key 北世
1990.4.27. YAMAHA LM Studio(池袋)

 牧が復帰してのフルバンド演奏。やはり生ドラムは良い。山口の迫力あるベースに引っ張られ、牧のプレイもずっと安定感を増した。この曲も以前のバージョンと比較すると、3声のコーラス、そして北世のキーボードが美しい。これらの音に支えられたせいか、ギターも健闘するようになった。相変わらず弾けていないところ、厳しい箇所は沢山あるのだが、他の音に耳がいくためにそれほど目立たなくなったからだ。もともと佐知ねえのヴォーカルが素晴らしかった曲だが、美しさが増してより引き立っていると思う。

9. Give Me All Your Love(オリジナル:Whitesnake)
Vo 佐知ねえ LG 高坂 G2 吉田 B 山口 Dr 牧 Key 北世
1990.4.27. YAMAHA LM Studio(池袋)

 今度はドラムマシーンではなく生演奏のバージョンだ。やはり山口のベースと北世のコーラスが印象的。牧は1バスなので、途中、バスドラムでシャッフルを刻む部分はロー・タムを上手く使い誤摩化している。キーボードはスタジオに備え付けのもの(名前不明だがヤマハ製)で、以前から「Here I Go Again」等で 高坂 が使用していたもの。北世が弾いてもやはり音はショボいまま。

10. Seven Doors Hotel(オリジナル:Europe)
Vo 佐知ねえ LG 吉田 LG 高坂 B 山口 Dr 牧 Key 北世
1990.5.8. Sound Factory(駒込)

 4月29日のライブを最後に脱退が決まっていた佐知ねえとの別れを惜しむように、ライブ後に一度だけスタジオ入りした際の音源。ライブでは演奏しなかった曲を中心に遊び感覚でプレイ。山口は一夜漬けで覚えて来たため、細かなフレーズやリズム等で以前の 高坂 のベースより劣るが、リフ等の少々やっかいなフレーズの安定感は Minstrfel よりずっと上。曲を知らない北世はイントロのみの参加。しかも直前に 高坂 がプレイしたフレーズを1回聞いただけのため、こちらも微妙に違うフレーズにやや違和感がある。

11. Rock And Roll(オリジナル:Led Zeppelin)
Vo 佐知ねえ LG 吉田 LG 高坂 B 山口 Dr 牧 Key 北世
1990.5.8. Sound Factory(駒込)

 この演奏が正真正銘、第1期 RATIUG の最後の演奏。「Here I Go Again」、「Seven Doors Hotel」(10のバージョン)、「Mama Kin」、そしてこの曲で終わった。
 有名な曲なので出来るかなというノリで、何の打ち合わせもせずに演奏したため、ギターソロを誰が弾くかも決まっておらず、目で合図しながら吉田が少し弾くのみ、2回目は 高坂 が多少弾いている。エンディングも牧が理解しておらず、何となく終えている。ベースとキーボードが健闘している。

12. One(オリジナル:Metallica)
Vo 高坂 G 高坂
1990.4. 田島荘(千早町2丁目)

 5.の「Damn Good」と同じ時に録音された音源。こちらがメインで録音されたもので、ギター3本による演奏と 高坂 のささやくようなヴォーカルのみ。オリジナルのような後半の畳み掛けるリズムの部分はなく、語り口調で終わっていくアレンジ。演奏終了後に語りがエコーまみれになっていくアレンジは、Metallica のPV「One」(何バージョンかあるうちのどれか)の「Help me...」と呟きながらドアがしまるバージョンを意識したもの。


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