明訓以外で最強は?

明訓以外で最強は?
 明訓と激闘を演じ、そして敗れていった数々の強豪校。その中で一番強いのはどこだろう? という興味は誰でも持つだろう。同じ県の白新や東海、甲子園での土佐丸や通天閣等・・・。唯一明訓を倒している弁慶が最強だろうか? 話しはそう単純ではない。
 作中にライバル校同士が対戦した場合(詳しくは『主人公以外の対決』を参照)もあり、その勝敗により優劣がつけられる場合もあるが、主力の不在や卒業後の対戦では真の実力は測れない。最も充実した戦力時での強さを知りたい。

  相 手 スコア 備 考




白 新 6−7 6点差を大逆転
東 海 0−1 里中が完全試合
通天閣 1(10)3 北が決勝打
土佐丸 4(10)5 土佐丸2本塁打、山田サヨナラ本塁打
いわき東 1−2 緒方が好投

白 新 5(11)9 山田サヨナラ満塁本塁打を含む3本
東 海 0−1 雲竜が好投
横浜学院 2−5 微笑が逆転満塁本塁打
甲府学院 2−3 賀間が活躍
クリーン 5(13)6 途中出場の山田同点弾&サヨナラ打
赤城山 1−2 木下の変則投球冴える
江川学院 1(12)2 山田5敬遠
信濃川 2−3 徳川作戦が冴える
土佐丸 5(12)6 激闘は殿馬の逆転サヨナラ2ラン
東 海 8−10 6点差を大逆転
白 新 0(10)1 不知火超遅球、里中無安打に抑える
吉 良 0−18 山田3三振
横浜学院 2(10)4 岩鬼がサヨナラ2ラン
BT学園 5−6 光の芸術であと一歩まで追いつめる
弁 慶 3−2 明訓唯一の黒星

東 海 1−2 激ヤセ雲竜も山田には通用せず
白 新 2−5 岩鬼が逆転満塁弾
中山畜産 3−4 継投と豊臣の執念で好試合
下 尾 2−6 山田が4本塁打
通天閣 0−2 山田の本塁打と里中の好投
花 巻 1−3 山田の本3ランと渚の好投
土佐丸 0−1 山田のサヨナラ弾
石垣島 0−1 山田のサヨナラ弾
北海大三 3−4 山田の逆転満塁弾
白 新 0(10)1 不知火執念の好投も実らず
室戸学習塾 2(10)4 ゼロの神話ついに破れる
りんご園農 5−9 序盤優勢に進めるも一気に逆転される
巨人学園 0−1 山田を抑える
1−4 山田の代打逆転満塁弾
青 田 4(18)4 明訓唯一の引き分け
青 田 1−2 中西の160キロを山田が本塁打
紫義塾 3−4 山田が壬生から逆転2ラン
 ライバルたちを列挙
 まずはライバルたちを列挙してみた。全試合ではなく、作中で詳しく描かれた試合だ。どの試合も印象深いものばかりだ。複数対戦しているチームも多いので、それは一つに絞りたい。
 まず延長戦を見てみよう。最も長い延長を戦ったのは18回で引き分けの青田。次は13回のクリーンでいずれも千葉勢だ。12回は江川学院と土佐丸、11回は白新、10回が通天閣、白新らのべ6校。白新は5回対戦して3回が延長戦、土佐丸も3回対戦し2回が延長なので、実力差は接近していたといえる。
 あと一歩まで迫ったという意味で、最終回でリードを奪っていたチームを見てみると、土井垣世代では白新、土佐丸、いわき東。山岡世代では、白新、横浜学院が2回、甲府学院、クリーン、赤城山、土佐丸、BT学園。岩鬼世代では、白新、花巻、室戸学習塾、光、青田、紫義塾。
 このうち、青田は延長で4度、クリーンと土佐丸は9回と延長で2度追い詰めている。
 特に惜しかったのは、延長で4度リードを奪った青田はもとより、クリーンはあと2球まで迫り3点差リード、赤城山は最後の打者を内野ゴロに打ち取り3アウト寸前での落球、横浜学院も1点リードの9回二死で山田三振という球を捕手が落球と、99%勝利を手中に収めながらの逆転負けだった。

 東海と白新
 明訓と5度死闘を演じた東海と白新の最強世代を考える。
 まずは東海だが、最初の対決は甲子園をかけた決勝戦で、雲竜が投手も出来るという驚きがあったが、結果は完全試合を食らっての敗戦。2度目も雲竜が好投したが、万全でない明訓にひねられている。3度目は里中・雲竜とも先発出来ず乱打戦となるも地力負け、4度目は激ヤセ雲竜が好投するが競り負け。5度目は雲竜不在で大敗。可能性としては、激ヤセ雲竜が体調を合わせられれた場合は最も好勝負になりそう。1回目、2回目は雲竜が万全で競った展開になったが、1年生に頼りっきりの内容には最強には相応しくないので、結局東海はここで落選。
 白新は1回目、2回目は完敗だったが、3回目と5回目は不知火が超遅球を駆使し山田キラーぶりを発揮し、互角以上の戦いを見せた。打線が弱いが最強候補に相応しい。

 土佐丸
 明訓と土佐丸は3度対決している。3度目はあっさり負けたが、1回目と2回目はどちらも作中屈指の名勝負となった。1回目は犬飼(小)が主力。「鳴門の牙」の異名をとり、序盤はキャッチボール投法で打たれたが、中盤からの本来の投球ぶりは凄まじく、作中でも最高峰の投手の一人に数えらえる。初回から全力投球をしていれば楽に勝利を収めていた可能性も高い。更に犬飼(武)の登場で迫力満点だった。瞬時にポジション移動する守備体形や丹座のヘルメットを使った送球阻止の走塁など、全選手のレベルも高い。
 センバツ決勝で戦った時の土佐丸も強く、明訓は再三リードを奪われ後手に回った。犬飼(武)に加え、犬神のトリック投球にも苦しめられた。ただ、このメンバーで夏の甲子園は初戦敗退。犬神が凄まじいフォークボールを披露し、犬飼(武)は本塁打性の当たりも見せたが、1安打(本塁打)のみの弁慶に敗れてしまった。明訓も弁慶に負けているので、強さは弁慶、明訓、土佐丸の順になるのだろうか?

 基準は弁慶
 結局、唯一明訓を倒した弁慶が最強の最右翼になるので、これを倒せる力があるかどうかで判断せざるを得ない。例えば、明訓を土壇場まで追い詰めた赤城山だが、センバツでは土佐丸に負けているし、弁慶を倒す迫力にはいま一歩欠けている感じがする。
 いわき東も緒方投手は相当に強力だったが、犬神のフォークが武蔵坊に打たれていることを考えると、いわき東も同じ運命を辿る公算が高い。
 砲丸投法の賀間を擁する甲府学院も、武蔵坊を抑え切るのは難しいだろう。
 つまるところ、高い投手力を持っていることは当然として、強力打線も必要ということだ。義経も好投手ではあるが、弁慶も大量点をとるチームではないので、武蔵坊に打たれてもそれ以上に点をとれる打線があれば良いということになる。つまり対弁慶での狙いは武蔵坊ではなく、義経だということだ。
 こうなると、犬飼(小)がいた時の土佐丸と影丸・フォアマンのいるクリーンが有力。また打者としても相当のレベルのある坂田や土門、中西のいる、通天閣、横浜学院、青田も有力となる。
 紫義塾は壬生が先発した場合どうなるのか。相当レベルは高そうな感じはするが、未知数すぎて分からないので除外。

チーム 主力選手
明 訓(比較対象として)
土佐丸 犬飼(小)、犬飼(武)
クリーン 影丸、フォアマン
白 新 不知火
横浜学院 土門、谷津
弁 慶 武蔵坊、義経
通天閣 坂田
青 田 中西、大池、才蔵
 7強
 土佐丸(土井垣世代)、クリーン、白新(岩鬼世代)、横浜学院(山岡世代)、弁慶、通天閣(山岡世代の全国制覇時)、青田(岩鬼世代)を7強とし、明訓を加えた8チームを比較する。
 まず投手力。どのチームも高い投手力を持っているので甲乙つけ難いので、この中で一歩落ちると思われるチームを無理にB評価とする。すると、本格的な投手でない影丸(もとは柔道家)と義経(もとは山伏?)が一歩劣る。里中ももとは控え投手なので、B評価かもしれないが、山田とのバッテリーで見ればAだ。S評価は山田キラーの不知火、『ドカベン』史上最速の土門、『球道くん』で主役の中西の3人。
 次に攻撃力を見ると、これは結構差がつく。大砲2人を擁する土佐丸はS。大砲2人とまではいかないが、主砲+好打者という意味でAランクはクリーンと青田。横浜学院や弁慶もこのタイプだが、主力以外の力がだいぶ劣るのでB。坂田は強力(賀間の砲丸投法から通天閣打法を炸裂させた)だし、通天閣は強力打線といわれるが、明訓や土佐丸等と比較すればやはり落ちるのでB。白新は不知火のワンマンチームで得点は不知火の一発が頼りだけなので、Cにも達せず。白山や秋に本塁打を放った浦といった選手もいたが、やはり不知火のワンマン感は拭えない。
 守備力はどこも目立って特筆すべきはないが、唯一土佐丸だけは守備陣形のフォーメーションの妙を見せたので、A評価。
 こうして見ると、最も安定的に強いのは土佐丸。青田もこれに匹敵するものの主力以外の力が少々劣る。横浜学院がこれを追うということになる。
 また弁慶はどれもそれほど高い評価にはなりえない。攻撃も結局は武蔵坊頼りで、実際、武蔵坊を欠いた花巻戦では1点も奪えていないし、甲子園での通天閣戦もおそらく無得点。守備力も義経と武蔵坊以外は平凡な選手なので、上記7強の中では最も劣るだろう。

 結局土佐丸か
 結局、土井垣世代の土佐丸が一番強そうだが、作中通り明訓には叶わないという結論に達しそうだが、ちょっと待ってほしい。まだ秘密兵器があるのだ。
 土井垣世代のメンバーに犬飼武蔵と同学年の犬神を入れたい。翌春に登場するが、土井垣世代の時に登場しなかったのは、まだ身体が出来ていなかったからか、隻眼となる事故にでも遭っていたのか、しかし学年的には問題ないので無理矢理入れて見る。
 犬神は相当な俊足なので、犬飼兄弟の大砲2人の前の打順に入れると攻撃に厚みが出る。また、あの落差の凄まじいフォークボール(山岡世代の夏から使用)はまだなかったとだろうが、これも反則技だが使用出来ることになると、投手陣も先発・小次郎、中継ぎ・武蔵、そして抑えに犬神という相当贅沢な投手陣ということになり、全員先発完投も可能なので連戦でも問題がない。明訓の全世代オールスターを作っても負けないほどの戦力になるのではないだろうか。

番付 西
土佐丸(1年時) 横綱 青 田
横浜学院(2年時) 大関 クリーン
通天閣 関脇 弁 慶
土佐丸(2年時) 小結 白 新(3年時)
いわき東 前頭1 紫義塾
巨人学園 前頭2 赤城山
前頭3 東 海(1年時)
下 尾 前頭4 東郷学園
江川学院 前頭5 甲府学院
花 巻 前頭6 中山畜産
北海大三 前頭7 BT学園
室戸学習塾 前頭8 信濃川
 番付表
 相撲風に番付表を作ってみた。もちろん、明訓が入るなら横綱だ。東西には深い意味はない。別に東日本・西日本ではないが、相撲の番付は西より東が少し上になっている。「東西は同格だが、東の方がちょっと上」という感じに見てもらいたい。
 横綱は土佐丸と青田で決まり、7強までは順に入る。土佐丸(2年時)も相当高いので小結に入れた。
 以下はここまでで取り上げていないチームも含めてのランキングだ。「○○より△△の方が上だろ〜」という意見は沢山あるだろう。
 『ドカベン』『大甲子園』とも、本格的野球選手というよりは素人に近くて身体能力のみでやっているような選手も多いので、このようなハイレベルではどのように評価すれば良いのか困る。代表的なのが巨人学園の真田だが、他にも紫義塾の各選手とかBT学園、室戸学習塾の選手たちも野球にガンガン打ち込んでいるタイプではないだろう。どうしても野球選手らしい野球選手のいる方を上にランクしてしまいがちだ。
 また逆に飛び抜けた実力を持つ選手を擁するチームは高くなりがちだが、やはり野球はチームスポーツ。飛び抜けた選手がいない。北海大三や信濃川のようなチームはもっと評価すべきかもしれない。
 また、「無手勝流」が炸裂すれば吉良が最強ということもあり得る。どんなに凄い選手がいても試合前に決着しているからだ。しかし神通力を持っている武蔵坊には通用しなさそうなので、やはり最強は弁慶ということか・・・。