国体

 国体
 国民体育大会高等学校野球競技は戦後1946年から行われおり、通称・国体として親しまれている。各年持ち回りで開催地が変わり、開催地は無条件で1校出場出来る。出場枠は開催地代表も合わせて10〜12校で、夏の甲子園の上位校が選ばれる。
 もう一つの全国大会だが、甲子園と比べると重要度はかなり低く、いわゆる思い出作り大会になっている。8月の選手権が終わると3年生は引退なので、引退後の試合になる。出場校によっては継続的に練習を続けるところもあるが、受験やその後の進路のこともあるので、大会前に多少練習して試合にのぞむ場合が多い。メンバーも3年生優先に起用することが多い。

出場校 都道府県
明 訓 神奈川
いわき東 福島
土佐丸 高知
東海商 愛知
岩手七 岩手
福岡九商 福岡
神 商 兵庫
大林寺 京都
岩 平 群馬
梶原学院
東 洋 岡山
取手五 茨城
(開催地)
 1年秋の国体
 1年夏は唯一年がハッキリと比定できており、1974年になっている。この年の開催地は茨城県だ。
 まず出場校は12校。8強は判明しているので、開催地を含め残り4校。この年は不明点が多いので、「1年夏の謎」をベースに話しを進める。明訓に3回戦で敗れたらしい岩平高校と、強そうな梶原学院がまず当確。開催地の茨城は代表校も分からずどうにもならないので、作中に登場する中でそれっぽいチームを考えれば、この後の秋に茨城王者になる取手五が浮上。取手五は夏と秋に茨城を連覇していたということにして11校目。残る1校は何の手がかりもないので、1校もない中国地方からという理由で岡山・東洋高校を選出した。

 大会経過をシミュレート
 まず簡易クジで組み合わせ。1回戦4試合は、東海商vs岩平、岩手七vsいわき東、大林寺vs東洋、神商vs取手五で、東海商、いわき東、大林寺、取手五の勝利。
 2回戦は、福岡九商vs明訓、東海商vsいわき東、大林寺vs取手五、土佐丸vs梶原学院。明訓、いわき東、大林寺は問題ないが、最後の土佐丸vs梶原学院。この時期、土佐丸は秋季大会を順調に勝ち進んでいるが、国体に価値観を見出さず、犬飼小次郎が「国体など結構。さぁ帰るぞ」とでも言っていそうなので、梶原学院の勝利。
 準決勝、明訓vsいわき東は両者ともやる気充分だが、明訓は甲子園では1年生が大活躍しているので、この大会は2,3年生、とりわけ影の薄かった東口ら3年生を優先的に使ったため、いわき東に大敗。またこれが徳川監督最後の采配となった。梶原学院は大林寺を退けて決勝進出。
 決勝はいわき東vs梶原学院。緒方と川藤の再戦となるが、地力に勝るいわき東が沈む炭坑の街に国体とはいえ栄冠をもたらした。

出場校 都道府県
通天閣 大阪
甲府学院 山梨
藤 田 愛媛
都城大成 宮崎
(開催地)
りんご園農 青森
三浦商 福島
小金井学院 東京
今 西 奈良
江川学院 栃木
高松臨海 香川
弁 慶 岩手
井上商 福井
 2年秋の国体
 2年夏は一応1979年ではないかということで、国体の開催地は宮崎県だ。宮崎県代表は都城大成で、4強に入っている。
 ここでも「2年夏の謎」をベースに話しを進める。出場校は右のようになる。8強のうち三浦商までしか分からなかったので、小金井学院と今西は根拠なく、完全に勘だ(東西から1校ずつ選んだ)。そして3回戦敗退校の中から残り4校というわけだ。井上商も根拠はないが、負けが確認されていない中から選んだ。

 大会経過をシミュレート
 まず例によって簡易クジで組み合わせ。1回戦4試合は、弁慶vs小金井学院、三浦商vs都城大成、通天閣vs今西、江川学院vsりんご園農となった。
 まず弁慶だ。弁慶は秋季大会にも主要メンバーが出ているので、国体にも参加出来るはずだ。しかし、武蔵坊は不出場で、明訓もいないし、ほとんどモチベーションがないので、初戦敗退。
 三浦商はエースの活躍で地元・都城大成に勝利し、通天閣は問題ないとして、最大の注目は江川学院vsりんご園農。秋季関東大会での江川学院を見ると中投手はほぼ復調しており、センバツで注目を浴びた大橋投手も故障から回復していると仮定すると、かなりの強豪。悲運だった大橋投手を中心に据えるだろうが、星王のいないりんご園農は圧倒されるだろう。
 続いて2回戦。甲府学院vs藤田、小金井学院vs三浦商、通天閣vs江川学院、高松臨海vs井上商。
 甲府学院は賀間がやや不調で藤田に苦杯をなめ敗退。
 三浦商はまたしてもエースが好投し勝利。
 通天閣vs江川学院は、坂田vs大橋という、ある意味夢の対決。しかしこの時期、秋季大阪大会を勝ち抜き、この後の近畿大会に備え、夏春連覇を狙う坂田にとって国体はさほど重要な大会ではなく、一方の大橋投手は夏の悲運を晴らしたいために気持ちが充実し、中も打者として活躍し、通天閣に快勝。
 高松臨海と井上商は何ともいえないので、ここでは明言しない。
 準決勝は藤田vs三浦商、江川学院vs高松臨海と井上商の勝者。第1試合はチーム力が一枚上手の藤田が勝利。第2試合も江川学院が圧倒し決勝進出。
 決勝は藤田vs江川学院。なかなか面白いカードだが、役者の揃う江川学院の勝利ということにしておこう。

出場校 都道府県
明 訓 神奈川
紫義塾 京都
青 田 千葉
花 巻 岩手
西 海 長崎
東京
群馬二 群馬
北海大三 北海道
紀伊田辺 和歌山
兼六学園 石川
江川学院 栃木
尾張一 愛知
(開催地)
 3年秋の国体
 3年夏は1994年ということになっているので、開催地は愛知県だ。他の年と違い、この年は上位校が判明しているので出場校を考えるのも楽しい。
 まず上位校、8強が判明しているので8校はすんなり決まる。地元・尾張一も初戦敗退だが決定で、残り3校。
 3回戦敗退の中で一番印象が良いのは、優勝した明訓に0−1で惜敗した巨人学園だが、国体は都道府県対抗のため、夏の甲子園では2代表を出している北海道と東京も1校しか出れない。すでに8強の光が選ばれているので、巨人学園は落選。
 次に印象が良いのは、一番点差が小さい負け方をした紀伊田辺。
 その次は群馬二に6−8で敗れた西武学園か青田に0−3で敗れた兼六学園との争いだが、準々決勝で群馬二は青田に0−11と大敗しているので、兼六学園が浮上。
 最後の椅子は西武学園と、2回戦敗退ながら、青田に1−2と接戦を演じた江川学院との比較となり、兼六学園と同様の理由で江川学院が選ばれた。

 大会経過をシミュレート
 簡易クジによる組み合わせ、1回戦4試合は、紫義塾vs江川学院、明訓vs群馬二、兼六学園vs青田、北海大三vs花巻と、興味深い4試合となった。
 紫義塾は本来は剣道の専門家で、明訓と対戦するために甲子園に来た、いわば前年の弁慶と同じパターンのチームなので、秋の時点ではチームを解散しているか、国体に参加はしても野球に力を入れている江川学院と比較すれば落ちるだろう。ここは江川学院の勝利といきたい。
 明訓vs群馬二。群馬二は明訓が対戦したことのない典型的な打撃のチームなので興味深いところだが、豪華メンバーの明訓の敵ではないだろう。
 青田vs兼六学園は夏の再戦。中西が5〜6分の力で抑えるだろう。
 センバツ準優勝の北海大三と夏4強の花巻も興味深い対戦。しかし、進学校の花巻は大学受験を控えている選手が多く野球どころではないということで、北海大三の勝利。
 2回戦、西海vs尾張一、江川学院vs明訓、青田vs北海大三、光vs紀伊田辺。甲子園8強の西海だが、地元の尾張一に花を持たせたい。
 続く江川学院vs明訓は、5敬遠以来の対決。その後、2度の夏の甲子園や関東大会でも同時に出場しているが対戦はなかったので、注目の再戦だ。大橋投手もいないので、ついに中と山田の勝負が実現する。ただし、重要度の低い国体での対戦ということで、中投手もストレート中心の工夫のない攻めをして、最終的には山田に痛打を浴びてしまうだろう。真剣勝負はプロ野球へ持ち越しだ。
 残る2試合は青田と光が勝って、準決勝は尾張一vs明訓、青田vs光。明訓は無難に勝利し、青田と光は夢の対決だ。『球道くん』と『ダントツ』の顔合わせだからだ。ただ、試合内容は攻守に上回る青田の快勝となるだろう。
 というわけで、決勝は明訓vs青田の再戦。リベンジに燃える中西が勝つか、明訓がこの年の最後まで負け知らずで終わるか、どちらにも勝たせたい心境。ここは延長12回くらいでロースコアの引き分け再試合。その後雨天順延が重なり途中で打ち切り、両校同時優勝ということにしたい。(国体は2000年から引き分け抽選、2013年から延長タイブレークとなっている)
 最強の明訓は国体は初優勝ということになる。